ゴールデングラブ賞6回。その同じ選手が、守備指標のランキングでは下位に沈んでいます。
対象は2014年から2019年までの6年間、中堅手としての累積UZR。数字は-35.2でした。
福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手です。記者投票による評価とデータによる評価が、ここまできれいにねじれる例はそう多くありません。
柳田悠岐の中堅手UZRは6年間で-35.2

出典:【画像】柳田悠岐、35歳なのに見た目が若すぎると話題に【なんJ なんG反応】 – こじゃんと速報【5ch時事ネタまとめ】
データ分析会社のDELTAが2020年3月7日に公開した中堅手の累積UZRランキング。柳田選手の2014〜2019年の合計が-35.2で、対象選手の中で最下位クラスに位置しました。
同じ表の1位はDeNA・桑原将志選手の+41.3、2位が中日・大島洋平選手の+36.1。上位とは70点以上の開きがあります。
UZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)は、同じ守備位置のリーグ平均的な選手と比べて何点分の失点を防いだかを失点換算で示す指標。目安はこう整理されています。
- +15前後:ゴールドグラブ級
- +10:優秀
- 0:平均
- -10:悪い
- -15:非常に悪い
6年で-35.2ということは、平均的な中堅手より35点余分に失点を許した勘定になります。
三井ゴールデン・グラブ賞の受賞は2014・2015・2017・2018・2020・2021年の計6回。賞歴と指標の食い違いを語る文脈で、柳田選手の名前は繰り返し登場します。
UZRを押し下げたのは「守備範囲」だけ

出典:柳田悠岐(37) .301 13本 54打点 – ずんだもんと見るプロ野球
UZRは3つの要素に分解できます。RngR(守備範囲)、ARM(進塁阻止=送球)、ErrR(失策抑止)の3本柱です。
柳田選手のマイナスは、このうちRngRにほぼ集中しています。
象徴的なのが2017年。500イニング以上守った中堅手11人の中で最下位、外野手全体で見てもワースト2位でした(ワースト1位は当時阪神の糸井嘉男選手)。
ところが内訳を追うと、強肩を示すARMは健在。失策の少なさも平均を上回っていました。落ち込んだのはRngRのみ。
この年、柳田選手は右脇腹の肋間筋損傷と右第10肋軟骨損傷を負っています。全力疾走が難しい体で守り抜いた結果が数値に出た、という分析が定着しました。
「UZRが低い=守備が下手」と単純に読めない典型例。それが2017年の柳田悠岐です。
2020年は中堅手8人中2位。キャリア最高の守備評価

出典:ホークス公式 祝★2020年タイトル獲得!~柳田悠岐選手 – 福岡ソフトバンクホークス公式
DELTAの「1.02 FIELDING AWARDS 2020」中堅手部門で、柳田選手は8人中2位に入りました。1位は阪神の近本光司選手です。
内訳は以下の通り。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 守備イニング | 874回2/3 |
| 守備範囲(RngR) | +3.7 |
| 失策抑止(ErrR) | -0.4 |
| 進塁阻止(ARM) | -0.7 |
| 合計UZR | +2.6 |
長年の弱点だったRngRが、この年はプラスに転じています。
同アワードの分析では「柳田悠岐は平均より長い滞空時間の打球に強いようだ」と評価されました。打球のタイプによって得意・不得意がはっきり分かれるタイプ、という見立てです。滞空時間の長短を問わず優秀だった近本選手とは、そこが対照的でした。
中堅から右翼、左翼、そしてDHへ

出典:【衝撃】柳田悠岐37歳、まさかの完全復活!打率3割目前&2000本安打が現実味…「まだ終わらないギータ」にファン騒然 – 午前2時の病棟
2022〜2023年:ポジション変更の前触れ
2022年1月に公開されたFull-Countの守備分析で、ソフトバンクの中堅守備はチーム計-8.5。6球団の中の弱点として名指しされました。牧原大成選手がプラスだった一方、柳田選手や真砂選手、上林選手のマイナスが全体を押し下げた、という指摘です。
2023年からは守備位置が右翼へ。DELTA FIELDING AWARDS 2023の右翼手部門では下位評価にとどまり、「現在は右翼手としても平均レベルに届かない守備力に落ちている」「さすがに加齢の影響がありそう」と総括されました。
ちなみに同ポジションの最高評価は日本ハムの万波中正選手。2023年から2025年まで3年連続で受賞しています。
2024〜2026年:負担軽減へ舵を切る
2024年5月31日、広島戦のゴロで走塁中に負傷。翌6月1日に右半腱様筋損傷で全治4か月と診断され、一軍復帰は9月30日のオリックス戦、実に122日ぶりでした。
2025年シーズン前には、小久保裕紀監督が「ライト近藤健介、レフト柳田悠岐」への入れ替えを明言。理由は近藤選手より5歳年上の柳田選手の負担軽減です。
同年4月、自打球による右脛骨骨挫傷で全治1か月の離脱。9月25日の楽天戦で「1番・左翼」に入り、3度の守備機会を無難に処理しました。
2026年3月は首痛のため、監督が「最初は守備はなしで、DH中心で起用しようかなと思っています」とコメント。4月18日に10試合ぶりの左翼守備についています。
UZRの数字をそのまま受け取れない理由

出典:【ド天然】柳田悠岐の面白エピソード50選 – 野球の笑える怪物【補欠ネコ】
同じ選手の同じシーズンでも、算出する会社によって値は動きます。2016年の中堅手UZRは、データスタジアムが-0.9、DELTAが-2.5。DELTAは12球団平均を0に調整し、データスタジアムは各リーグ6球団平均を0に調整するという違いがあるためです。
そしてDELTA側の記事には、擁護的な一文も併記されています。-35.2という累積について「ほかの中堅手に打撃でつける差の大きさを考慮すると、これだけで済んでいるとも考えられる」。
打撃の中身を並べると、この評価の意味が見えてきます。
- 2015年:打率.363・34本・32盗塁・99打点でトリプルスリー+首位打者。出塁率.469は400打席以上の外野手で歴代最高
- 2018年:打率.352・36本・102打点
- 2020年:打率.342・29本・86打点でパ・リーグMVP
- 2023年:143試合・打率.299・22本・85打点で最多安打
守備で30点強を失っても、打撃で稼ぐ幅がそれを上回る。総合価値で見れば主軸として十分に成立する、という読み方になります。
打撃で選ばれた選手だった
そもそも柳田選手がホークスにいる経緯にも、打力の話が絡んでいます。2010年のドラフトで、王貞治会長の「誰が一番飛ばすのか」という質問をきっかけに、指名が秋山翔吾選手から柳田選手へ変更されたという逸話が残っています。
守備範囲の数字より打球を飛ばす力。球団が最初に買ったのは、そちらでした。
あわせて読みたい
- 柳田悠岐が馬主でJRA通算2勝目!愛馬5頭の成績と落札額を徹底整理
- 柳田悠岐が選んだ「分離型7年契約」とは?年俸推移・復帰時期・引退撤回の真相まとめ
- 柳田悠岐の経歴全記録|7年契約の年数・金額・引退宣言撤回を時系列で解説
- 柳田悠岐の離婚説と嫁インスタを検証!家族5人で幸せな夫婦の素顔に迫る
- 柳田優樹の母親はギタリスト!MATSURI最年長が持つ4ヵ国ルーツの原点
まとめ

出典:柳田悠岐(37)とかいうおじさん、衰える気配がない・・・ – なんJ侍チャンネル
柳田悠岐選手のUZRについて、確認できる範囲を整理します。
- 2014〜2019年の中堅手累積UZRは-35.2(DELTA公表)
- マイナスの中心はRngR(守備範囲)で、ARMとErrRは平均前後から上
- 2020年は合計+2.6で中堅手8人中2位、キャリア最高評価
- 2023年以降は右翼→左翼→DHへと守備負担を軽減
- 算出機関によって同一シーズンの値も食い違う
2026年は8月27日時点で103試合・打率.300・13本塁打・54打点。5月に通算1500試合出場、7月に通算300二塁打と、節目も重ねています。
なお2025年のデルタ・フィールディング・アワード右翼手部門に柳田選手の名前はありません。出場が20試合にとどまり、規定守備イニングに届かなかったとみられます。左翼とDHを行き来する現在の起用が続く以上、次のランキングに名前が載るかどうかは、残り試合でどれだけ守備イニングを積むかにかかっています。
