ライバルのバットで決勝打、甲子園で起きた粋な出来事

出典:【神の手】8回裏、#森下翔太 選手が捕手のタッチを2度かいくぐり決勝のホームイン!【2025/7/2T-G】 – 阪神タイガース 公式
敵地のバットを借りて、その同じバットで決勝打を放つ。
そんな漫画みたいなことが、2025年5月21日の甲子園で本当に起きました。
打ったのは巨人の浅野翔吾選手。バットを渡したのは、相手チーム阪神の森下翔太選手です。
中日スポーツの報道によると、浅野選手は試合前日の5月20日に森下選手へバットの使用を直接お願いし、森下選手はそれを快く引き受けたとのこと。
翌日の試合では、そのバットが4回表の先制適時二塁打を生み、巨人が5-4で勝利。苦手にしていた阪神戦で連敗を2で止める、価値ある1勝となりました。
4回表、左翼線へ伸びた打球が試合を動かした

出典:【4の4】6回裏、#森下翔太 選手の痛烈な打球がファーストを襲う!本日4安打目は2点適時打!【2023/7/28T-C】 – 阪神タイガース 公式
試合が動いたのは4回表です。
無死一・二塁のチャンスで打席に立ったのが、森下バットを手にした浅野選手。
カウントは2-2まで追い込まれていました。普通なら焦る場面です。
そこから放った打球は左翼線へ。先制の適時二塁打となりました。
浅野選手は試合後、次のようにコメントしています。
> 「追い込まれていたが、冷静にいけた。阪神に勝ちたかった。気合が入っていました」
借りたバットの感触についても、
> 「(バットの感触は)よかったと思います。明日以降もこのバットで」
と、今後も使い続ける意向を示しました。
リプレー検証で覆った2点目
試合のハイライトはもう一つあります。
1死三塁の場面で浅野選手が本塁へ突入。一度はアウトの判定でしたが、リプレー検証の結果セーフに覆り、貴重な追加点となりました。
最終スコアは巨人5-4阪神。1点差の接戦を制したわけです。
バットを譲った森下翔太、その判断の重み

ここで考えたいのが、森下選手の対応です。
対戦相手、しかも甲子園で戦う直前の相手にバットを渡す。これ、なかなかできることじゃありません。
森下選手は2000年8月14日生まれ、中央大学商学部金融学科出身の阪神タイガース外野手。2022年ドラフトで阪神の外れ1位指名を受けてプロ入りしました。
一方の浅野選手は高松商業高校出身で、同じ2022年ドラフトの巨人単独1位指名。
つまり2人はドラフト同期です。
2人の交流が始まったのは、プロ入り前にさかのぼります。
大学日本代表vs高校日本代表、2022年夏の出会い

出典:森下翔太選手がベンチから登場し、日本代表のために3ランホームランを放った!😳 – MLB
2人の関係を知るには、2022年夏まで時計を戻す必要があります。
この年、高松商業3年だった浅野選手がU-18ワールドカップに出場する高校日本代表に選出されました。
そしてワールドカップ前の壮行試合で対戦したのが、当時中央大4年だった森下選手を擁する大学日本代表だったのです。
spaiaの記事によると、この壮行試合での対戦が2人の交流のスタート地点になっています。
その年の10月20日、ドラフト会議で2人はそれぞれ違うチームのユニフォームに袖を通すことが決まりました。
- 森下翔太:阪神タイガース(外れ1位)
- 浅野翔吾:読売ジャイアンツ(単独1位)
ドラフトで別々の道を歩み始めた2人が、3年後に甲子園で「バットを譲り、譲られる」という形で交わる。野球漫画でも書けない展開です。
浅野選手のコメントに表れる関係性
浅野選手自身も、2人の関係についてこう語っています。
> 「(森下とは高校の時から)少し交流があったので、昨日、(バットを)お願いしました」
さらっと言っていますが、相手は伝統の一戦の対戦相手。「ちょっと貸して」と頼める間柄は、それなりに信頼関係がないと成立しません。
意外と知られていない、ライバル間のバット交換文化

出典:森下翔太選手、26年さらなる進化を求めたバット製作に密着!悩みに悩んだ末に… – MIZUNO BASEBALL JP
実はプロ野球の世界で、対戦相手にバットを譲るという行為そのものは前例がないわけではありません。
ただし、Yahoo!ニュースなどの報道で「新たなスポーツマンシップ」として注目されたように、対戦試合の前日に直接やり取りするケースは珍しい部類に入ります。
譲ったバットで相手に決勝打を打たれる、というのは森下選手にとっては複雑な結果でしょう。
しかし、それでも快諾した姿勢に対して、SNSやファンの間で評価する声が広がりました。
今後の注目ポイント

出典:森下翔太の“本音”…? 最近の動きに注目 – Ghbhb Cffdbv
注目すべきは、浅野選手がコメントしている通り「明日以降もこのバットで」という発言です。
つまり、森下バットでの打席が今後も続く可能性が高いということ。
阪神ファンとしては、自軍の主力外野手が譲ったバットで巨人の若手が打ち続ける展開は、なんとも言えない気持ちになりそうです。
一方で、ドラフト同期の2人が同じバットを通じて結果を出していく姿は、プロ野球の新しい物語として記憶に残ることになりそうです。
次のセ・リーグ伝統の一戦で、2人がどんな対決を見せるのか。
バット1本から生まれたストーリーの続きに、注目が集まります。
