横綱が敗れ、座布団が舞った秋場所4日目
2026年9月16日、秋場所4日目の結びの一番。
東前頭2枚目の高安(田子ノ浦部屋)が、横綱・大の里を突き倒しで破りました。
スポニチアネックスなどの報道によると、館内には座布団が舞ったといいます。
高安は36歳6カ月での金星で、歴代9位の年長記録です。
翌17日正午過ぎ、この光景に噛みついたのが、マンボミュージシャンのパラダイス山元さんでした。
パラダイス山元さんの投稿と反応

出典:パラダイス山元が伝説の『蔓餃苑』餃子レシピを全公開! – JISIN CHANNEL
パラダイス山元さんは、伊勢ヶ濱部屋推しで知られる好角家です。
秋場所4日目も、向正面で現地観戦していました。
ABEMA TIMESによると、Xへの投稿はこうです。
> 国技館で座布団投げる輩は、警視庁が現行犯逮捕、日本相撲協会が傷害罪で刑事告訴すべきと思う人(挙手の絵文字)
さらに「他人を傷つける行為が相撲文化だとは私は思いません」とも発信しています(弁護士ドットコムニュース。投稿日は確認できませんでした)。
割れた意見
反対側のファンからは、こんな声も出ました。
許せない行為を挙げるなら、手拍子やコール、取組中に入ってくる人、マス席のパイプに座る人、頭上にスマホを掲げる人が先。座布団投げはそれらよりずっと下位、という主張です。
投げた客に問われうる罪
弁護士ドットコムニュースは2026年9月27日、千秋楽当日にこの問題を配信しました。Yahoo!ニュースのトピックス見出しが「相撲の座布団投げ 客の刑事責任は」です。
同記事などによると、想定される罪は次の3つです。
- 暴行罪(刑法208条):2年以下の拘禁刑か30万円以下の罰金、または拘留か科料。ケガがなくても「人の身体に対する有形力の行使」に当たりうる
- 傷害罪(刑法204条):ケガをさせた場合。「ケガをさせてやろう」という意図は不要
- 過失傷害罪(刑法209条):人に当たる認識がなくても、ケガをさせれば成立しうる。30万円以下の罰金か科料
2019年の同サイトの記事で、西口竜司弁護士は「座布団を投げる行為自体は、暴行罪にあたります」と述べ、民事上の損害賠償請求にも触れています。
一方で、日本相撲協会は2019年時点で、事件化した事例は「把握しているかぎりない」と回答しています。今回の秋場所についても、逮捕や起訴の報道は確認できていません。
禁止の歴史と、実際に起きたケガ
100年以上前から禁止
Wikipediaの「座布団の舞」によると、起源は17世紀半ば〜18世紀初頭の芝居小屋にあります。物を投げる「投げ纏頭(はな)」の習慣が相撲にも広まり、座布団投げはその名残とされます。
禁止は1909年(明治42年)、初代両国国技館の完成時です。1940年には警視庁が協会に厳しく罰するよう指導しました。
それでも、なくなっていません。
協会の対策
協会の対策は少しずつ積み上がってきました。
- 2007年9月場所:取組表に暴行罪・傷害罪の注意書きを掲載
- 2008年11月場所:マス席の座布団を「1人用4枚」から、ひもで連結した「2人用2枚」(計4.8kg)に変更
- 2019年5月場所千秋楽:トランプ米大統領の観戦時に「投げた場合は退場の上、処罰される」とのチラシを配布し、座布団は飛ばなかった
観戦契約約款の第8条は、物品の投げ入れや他人に危険を及ぼす行為を禁じています(ABEMA TIMESの引用による。協会サイトの約款ページは今回確認できていません)。
実際に当たった例
危険は理屈だけではありません。Wikipediaには次の負傷事例が並びます。
- 2012年5月場所初日:行司・木村堅治郎さんの後頭部に当たり、口の中を切った
- 2017年7月場所11日目:浅田真央さんに直撃
- 2022年7月場所14日目:正代の頭に当たった
- 2024年7月場所14日目:隆の勝の頭に当たった
YouTube公式チャンネル「親方ちゃんねる」では、親方衆が「目に当たると失明する危険もあります」と呼びかけています。
論点はどこにあるか

出典:🔥🚨【騒然】ABEMA中継にまさかの人物!パラダイス山元が国技館に登場、視聴者「マジかよ!」大辻は豪快な突き出しで今場所2勝目🏯相撲ファン騒然🔥 – ジェイプナガ
「伝統的な光景」か「傷害事件の予備軍」か。パラダイス山元さんの投稿は、この線引きを問うたものです。
ただ、法律上は明快です。当たった相手に痛みがあれば傷害、当たらなくても暴行に問われうる。「文化」という理由で免責される規定は、報道された範囲では見当たりません。
なお、2026年1月の初場所4日目にも、大の里が義ノ富士に敗れて座布団が舞い、観戦マナーが議論になりました(週刊女性PRIME)。横綱が敗れるたびに繰り返される構図です。
千秋楽は、大の里と安青錦が3敗で並ぶ相星決戦となりました(時事通信)。
荒れる可能性のある一番だけに、協会の場内アナウンスと客席の対応が焦点になります。
