引退会見で涙がひとつも出なかった選手を、いったい何人思い浮かべられるでしょうか。
2024年5月、東京・日比谷の会見場は報道陣まで笑顔になる空気に包まれました。主役は五輪メダル3個を持つ男子フィギュアスケーター、宇野昌磨さん。
「正直まったくないです」
引退への未練を問われての即答でした。
引退したのは2024年5月、そのときの年齢は26歳。ところがこの引退、2年後に本人の手で覆ります。順を追って整理します。
宇野昌磨さんが引退を発表したのはいつ?

出典:【速報】フィギュアスケート宇野昌磨選手が現役引退発表 五輪2大会連続メダル等活躍(2024年5月9日) – ANNnewsCH
発表は2024年5月9日
2024年5月9日、自身のInstagramに投稿が上がりました。「スケートを21年間続ける事ができ、素晴らしい競技生活を送れた」。ファンへの感謝で締めくくられた発表文は、東京新聞が全文を報じています。
事前の予告はありませんでした。
引退会見は5月14日午後2時、日比谷
会見が開かれたのは5日後、5月14日の14時00分。会場は東京・ミッドタウン日比谷の「LEXUS MEETS」でした。
所属するトヨタ自動車のYouTubeチャンネル「トヨタイムズスポーツ」で生配信され、リンク以外の場所から引退の言葉が届く形に。
ここで宇野さんは「悲しいというより、すごく前向きな気持ち」と語り、「自分をほめたいなと思います」と21年間を総括しました。
現役最後の試合は2024年3月
競技者として最後に立った氷は、2024年3月のモントリオール世界選手権。結果は4位でした。
3連覇がかかった大舞台での4位が、そのまま引退試合になっています。
引退を考え始めたのは2022年
会見での説明によれば、引退が頭をよぎり始めたのは「2年前ぐらい」。逆算すると2022年の北京五輪直後にあたります。
コーチのステファン・ランビエルさんに伝えたのは2023年12月、全日本選手権が終わったタイミング。そこから世界選手権を最後にすると決めました。
約2年かけてたどり着いた結論だったわけです。
宇野昌磨さんの引退年齢は26歳

出典:【引退会見】フィギュア宇野昌磨選手 – 日テレNEWS
正確には26歳4か月
1997年12月17日生まれ、愛知県名古屋市出身、身長158cm。2024年5月の引退発表時点で26歳4〜5か月でした。
五輪メダルを3個持つ選手の引退年齢としては、かなり早い部類に入ります。
「27歳で引退」は誤り
ネット上では27歳という数字を見かけることもありますが、正しくは26歳。
誕生日が12月のため、2024年のうちはまだ26歳という計算になります。
スケート歴は5歳から21年間
5歳で氷に乗り、26歳で降りるまで21年。発表文にあった「21年間」はここから来ています。
人生のおよそ8割をスケートに使った時間の長さ。
26歳での引退を後押しした、二人の名前

出典:【フィギュア】宇野昌磨が引退を発表 写真で軌跡を振り返り【日刊スポーツ】 – 日刊スポーツ
引き金として宇野さん自身が会見で挙げたのは、羽生結弦さんとネイサン・チェンさんの引退でした。
2人が競技を離れたと知ったとき、「寂しい気持ちと取り残されてしまった」という感情が生まれたと明かしています。
東京新聞の担当記者も、あの2人が退いた時点で競技者としての精神を保つのは難しくなっていた、と分析しました。
表彰台を争う相手が消えることは、記録の面以上に選手の意欲を削ります。フィギュアに限らず、トップスポーツで何度も繰り返されてきた構図です。
引退後の2年間、宇野昌磨さんは何をしていたか

出典:21年間の競技生活に終止符…フィギュア・宇野昌磨が引退表明 山田コーチ「次の世界に行きたいということじゃ」 – 東海テレビ ニュースONE
「プロとしてスケート活動は継続する」。会見でのこの一言どおり、氷から離れる期間はありませんでした。
- 2024年9月25日:フジテレビ系フィギュアスケートのスペシャルアンバサダーに就任
- 2025年3月:自身初プロデュースのアイスショー『Ice Brave』開催を発表(2025年6月に愛知・福岡、7月に新潟)
- 2026年5月1日:プロeスポーツチーム「VARREL」のGAMER部門に加入
ゲーム好きで知られる一面が、プロチーム加入という形で表に出たのは引退後ならではの展開でした。
引退から5か月後には、次の決断をしていた

出典:フィギュアスケート・宇野昌磨選手 引退会見「心から踊るようなスケートを」 プロ転向へ(2024年5月14日)ANN/テレ朝 – ANNnewsCH
引退会見から半年も経たない2024年10月、宇野さんと本田真凜さんはアイスダンスへの挑戦を決意しています。公表はその1年半以上あとでした。
「未練はまったくない」と言い切った人が、氷を降りて5か月で新しい競技に目を向けていた。この時間差を知ると、あの爽やかな会見の景色が少し違って見えてきます。
会見では「元々内気だった性格を、大舞台を経験することで変えることができました」とも語っていました。
そして2026年5月、あの引退が「一度目」になった

出典:本田真凜さんとの息の合った演目も…宇野昌磨さんが初プロデュースのアイスショー『Ice Brave』でファン魅了「“次”も考えられたら」 – 東海テレビ ニュースONE
2026年5月22日、宇野さんは本田さんとアイスダンスのチーム結成を発表。2026-27シーズンから競技に戻ります。
カップル名は「しょまりん」、目標は2030年フランス・アルプス冬季五輪です。
復帰時の年齢は28歳、本田さんは24歳。2030年の五輪が開かれる年、宇野さんは32歳になっています。
復帰後の演技が初めて人前に出たのは2026年7月31日、宇野さんプロデュースの『Ice Brave -A TURNING SEASON-』愛知公演。リズムダンス『ポエタ』とフリーダンス『四季』を披露しました。
32歳での五輪挑戦には、先を歩いた人がいる

出典:宇野昌磨が銀メダル 初出場で フィギュア男子 – 共同通信 KYODO NEWS
髙橋大輔さんは2014年、28歳で一度引退しました。4年後の2018年に32歳で現役復帰、2020年から村元哉中さんと組んでアイスダンスへ転向し、2023年に競技を退いています。
シングルで頂点を争った選手が、引退を経てアイスダンスへ——宇野さんが選んだのは、髙橋さんが先に切り開いたルートの上にある道です。
年齢の重なりも興味深いところ。髙橋さんの復帰が32歳、宇野さんが五輪を目指す2030年も32歳。
26歳の引退は、この競技では終点ではなく通過点になり得ます。宇野さんの2年間が、それを証明しました。
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まとめ

出典:宇野昌磨 FS イタリアファイナル2022 – Figure skating wraudw
| 質問 | 答え |
|---|---|
| いつ引退した? | 2024年5月9日にSNSで発表、5月14日に引退会見 |
| 現役最後の試合は? | 2024年3月 モントリオール世界選手権(4位) |
| 引退年齢は? | 26歳(1997年12月17日生まれ) |
| スケート歴は? | 5歳から21年間 |
| 今も引退中? | 2026年5月に競技復帰を発表し、現役に戻っている |
| 復帰時の年齢は? | 28歳(2030年五輪の年に32歳) |
「いつ引退したのか」という問いに、宇野さんの場合は答えが2つ必要になりました。2024年5月に一度終わり、2026年5月に続きが始まった。
区切りのはずだった26歳の決断は、結果として折り返し地点になっています。2026-27シーズン、しょまりん組は競技会デビューの舞台に立ちます。
