開場前に決まった中止、無料招待デーだった一戦
2026年9月13日(日)、Xリーグプレミア2026レギュラーシーズン第6節「富士フイルム海老名Minerva AFC対オービックシーガルズ」が、海老名運動公園陸上競技場で行われる予定でした。
キックオフは14時。13時の開場を待たずに、試合は中止となりました。
この日は海老名市在住・在勤・在学者の無料招待デー。キッチンカーが10台以上並び、市のイメージキャラクター「えび〜にゃ」も登場する予定だったホームゲームです。
中止を申し入れたのは、富士フイルム海老名のゼネラルマネージャー、松井孝夫氏。当日午前にXリーグ側へ「延期」を伝え、11時38分にはチーム公式サイトで延期を告知しました。
ところが13時13分、告知は「延期」から「中止」へ訂正されます。詳細が確定していないため、というのが理由でした。
発端はオービックの契約違反、8月末の処分から始まった経緯

出典:松井孝夫作詞・作曲 合唱曲 笑顔を忘れてしまった君に 高音質 – keiyo201musasino205
そもそもの原因は、オービックシーガルズによる「プロ選手契約の人数制限違反」でした。
Xリーグは戦力均衡のため、1チームあたりのプロ契約選手数を日本国籍選手4名まで、外国籍選手4名までと定めています。オービックはこの枠を超えていたと、NFA(日本社会人アメリカンフットボール協会)の懲罰委員会が認定しました。
8月28日付で、オービック運営会社・株式会社OFCの並河研代表と古谷拓也GMに1カ月間の資格停止、選手1名に厳重注意という処分が下ります。
29日にはオービックが公式サイトで謝罪を掲載しました。
しかし話はここで終わりません。9月上旬、富士フイルム海老名を含むXプレミア所属7チームが連名で、NFA・懲罰委員会・オービックの3者に共同申入書を提出しました。
回答期限は9月11日17時。同日、NFAは追加処分を発表します。並河代表と古谷GMは無期限の資格停止、並河代表にはさらに罰金20万円が科されました。「事実に反する資料の提供」「非協力的な対応」「資格停止期間中の会場への不適切な来場」が認定理由です。
選手が特定されないまま、安全を理由にした申し入れ

7チームが提出した共同申入書は5項目。柱となったのは、シーズン当初に統一契約書を提出した特定のプロ契約選手4名を明示すること、そして今季残りの公式戦出場を一切認めないよう改めて認定することでした。
だが9月11日17時の期限までに、3者から明確な回答は得られませんでした。
翌12日早朝、富士フイルム海老名はチームミーティングを実施。「公平な競技環境が確保できない」と判断します。
同日夕刻、NFAから海老名側に届いたのは「該当する5名の選手について出場を見送るようオービックへ強く要請した」という報告でした。
ただし5名が誰なのかは具体的に特定されず、オービックからの返答もありませんでした。
海老名側の説明で重かったのは、この一文です。「アメリカンフットボールという競技の特性上、対象選手が特定されないまま試合に臨むことは、弊チームに所属する選手の安全確保の観点からも看過できない」。
勝敗ではなく、選手の安全を理由に挙げた申し入れでした。
没収試合で1対0、松井GMは1989年創部からの生え抜き
9月13日23時55分ごろ、Xリーグは第3報を発表。NFA公式規則第8篇第1章第2条「没収試合」を適用し、オービックシーガルズの1対0の勝利と裁定しました。富士フイルム海老名は事実上の棄権扱いです。
同時にNFAは、富士フイルム海老名の今回の行為について「懲罰処分の要否を含め、競技運営規程等に基づき速やかに審議を行います」とも表明しています。
申し入れを行った松井孝夫GMは、1989年に「チームゼロックス」として創部した当初から関わる古参です。関西学院大学時代はDB(ディフェンスバック)としてプレーしていました。
チームではアメリカ人選手4人の生活面を支える役回りも担っています。2022-2023シーズンには、海老名市・海老名商工会議所との3者連携協定締結や小学生向けフラッグフットボール教室といった地域連携の実績で、日本トップリーグ連携機構(JTL)の「トップリーグトロフィー」を受賞しました。
なお、処分を受けた並河研氏は、オービックシーガルズの代表であると同時に、リーグを統括するNFAの理事長でもあります。この構造が、今回の対応を難しくした一因といえるでしょう。
続報の有無を含め、NFAによる富士フイルム海老名側への審議の行方が注目されます。
