会見場を埋めた約630人の”ファン記者”
2026年8月30日午前9時ごろ、東京都内のホテルで少し変わった記者会見が開かれました。
報道陣の後ろには、抽選で選ばれたファンクラブ「TEAM PR1DE」の会員が約630人。
主役は、この日限りで現役を退くことを表明した埼玉西武ライオンズの栗山巧選手です。
応募は6月29日13時52分から7月20日23時59分まで受け付けられ、当選発表は8月1日でした。
会見の第一声は「いよいよこの日がきたという気持ちと、それでもまだ実感がわかないという気持ちが入り混じっています」。
この日17時からベルーナドームで行われる東北楽天戦が、栗山選手にとって現役最後の試合になります。
「1年前」に引退を予告した理由

出典:【5年前・プロ20年目】栗山巧(37) 西武一筋で2,000試合出場達成 伝説の名場面 ライオンズ 獅子達の系譜 2021/6/12 – ベルドのできごと
栗山選手が引退を口にしたのは、この日が初めてではありません。
2025年11月24日、契約更改の会見で「2026年限りでの引退」を表明していました。
シーズン開幕の1年前に引退を予告するのは、日本球界では珍しいケースです。
このとき栗山選手は「野球の技術や心構えをどこまで追求できるかというのを来年で締めくくり、答えを出したい」と語っています。
1年前倒しで公表した理由も明かしていました。
「ファンの皆様に、しっかり僕のプレーを見てもらいたい」「自分が培ってきた技術を見てもらうことによって、支えてもらってここまで来られた感謝の気持ちを伝えたい」。
編成本部長の広池浩司氏は当時、優先起用はしない考えを示していました。
「勝つためにやっているのですから」という言葉どおり、2026年の1軍成績は10試合・1安打・打率.111にとどまっています。
数字が語る25年、生え抜き最多安打の重み

出典:西武・栗山巧が引退会見「実感がわかない」…630人のファン同席 中村剛也に感謝「特別なチームメート」 – Japan Trending News
2001年ドラフト4巡目で入団し、2002年から2026年まで西武一筋。
通算成績は2322試合、7761打数、2151安打、128本塁打、914打点、打率.277です。
この2151安打は、西武の生え抜き選手としては球団最多の数字。
2021年9月には通算2000安打も達成しており、これは西武生え抜き選手として史上初でした。
2025年4月には通算3000塁打に到達、NPB史上64人目という記録も残しています。
派手さのある数字ばかりではありません。
通算1052四球はNPB歴代16位で球団最多。ボールゾーンスイング率は現役後半まで20%前後を保ち、選球眼の高さを裏付けています。
同期・中村剛也への思い、そして未定の去就

出典:栗山巧、25年の物語がついに完結…最後の一日にファン涙😭⚾ – The Digest JP
会見では、同じ2001年ドラフトで入団した中村剛也選手への言葉も飛び出しました。
「特に会話はしていないけど、一緒にドラフトで入ってきて気付けば25年同じユニホームでプレーして、当たり前の存在ですけど、特別なチームメートだと思います」。
最終年は開幕から2軍スタート、交流戦前には再び2軍降格を経験しています。
それでも「2軍での日々は学びが多くて、これから1軍を目指す若手と一緒にやれたのは僕の財産になりました」と振り返りました。
引退後の去就は、この会見の時点でも正式には固まっていません。
6月24日の西武ホールディングス株主総会では、後藤高志オーナーが「球団の功労者として何らかの形で球団に残っていただきたい」と発言していました。
ちなみに、球団が引退試合を発表したのは6月29日の午後1時52分。
入団時の背番号「52」と、2008年から着け続けた「1」に掛けた時刻でした。
