「強さに髪型は無関係」——名門校が、長年の慣習に向き合いました。
全国屈指の柔道強豪校・天理高校(奈良県天理市)の柔道部が、伝統的な丸刈り強制を廃止する取り組みをスタートさせました。
2026年5月17日、奈良県橿原市の市役所分庁舎「ミグランス」にて、化粧品大手・マンダムが主催する「部活ヘアサロン」を開催。
参加した部員は35人、奈良県内での同プログラム開催は初めてのことです。
翌18日、奈良新聞デジタルが「強さに髪型無関係、柔道部員ら丸刈り改革」として詳しく報じました。
主将・高橋大輔が引っ張る「見た目の自由化」

出典:【アイスエクスプロージョン】高橋大輔らの練習模様を大公開! – テレ東スポーツ
今回の取り組みで象徴的な存在として報道されたのが、天理高校柔道部の主将・高橋大輔選手です。
奈良新聞デジタル(2026年5月18日)には、高橋主将が実際にカットを受けている様子の写真が掲載されました。
言葉ではなく行動で示す——部のトップが率先して変化を体現したことが、このイベントを単なる体験会以上のものにしています。
天理高校柔道部は天理柔道会に所属し、全国大会でも実績を持つ名門校です。
その主将が丸刈り改革の「顔」として登場したことには、内外へのメッセージとしての意味もあります。
「部活ヘアサロン」とは——自己表現を取り戻すプログラム
マンダムが展開する「部活ヘアサロン」は、部活動に打ち込む学生の自己表現を後押しするプログラムです。
2023〜2024年頃から全国複数校で実施されており、これまでの参加校には駿台学園高校バレーボール部、かえつ有明高校マーチングバンド部、飯塚高校サッカー部などがあります。
天理高校でのイベントは、以下の2ステップで行われました。
ステップ1:ワークショップで「なりたい自分」を言語化
まず部員35人が集まり、「自分のなりたい姿」について話し合いました。
いきなりハサミを入れるのではなく、自分の価値観や希望を言葉にする——ここが、単なるヘアサービスとは異なる点です。
ステップ2:近隣の美容室でカット体験
ワークショップの後、実際に近隣の美容室でヘアカットを体験しました。
自分が描いた「なりたい姿」に向けて、実際に変化を体感するという流れです。
マンダムがこのプログラムを始めたきっかけは、「部の伝統である角刈りにより自信が持てなかった過去」への問題意識でした。
強さを磨くことと、自分らしさを保つことは矛盾しない——その考えがこの取り組みの出発点になっています。
競技人口の減少が変化を後押しした

出典:Dec 2012 Daisuke Takahashi 高橋大輔 FS – raptor2205
天理高校の取り組みは、より大きな流れの中にあります。
2025年9月6日、山陰中央新報が「高校柔道『脱丸刈り』おしゃれと両立」と題し、全国的な動きを報じました。
同年9月14日には東京新聞も「高校柔道男子『脱丸刈り』で、おしゃれも強さも頑張りたい」と続けて報道。
東京新聞の記事では「競技人口減、時代に乗り遅れては…」という言葉が使われており、変化の背景を端的に示しています。
高校柔道の競技人口は減少傾向にあります。
丸刈り強制という入部ハードルを取り除くことが、競技人口を守るための一つの対策として注目されているのです。
あまり知られていない事実——この流れは柔道だけではない

出典:【高橋大輔2010】 ロングインタビュー「バンクーバー五輪では、何か分からないものが見えた、という演技をしたい」 高橋大輔選手(23) 五輪前に語る – RSKイブニングニュース
ここで一つ、ちょっと意外な事実を。
マンダムの「部活ヘアサロン」に参加しているのは柔道部だけではありません。
バレーボール、マーチングバンド、サッカーと、競技の枠を越えて広がっています。
「部活動のために外見を我慢する」という考え方が、スポーツ全体で見直されつつある——それが現在の流れです。
天理高校のような全国屈指の名門校が変わることで、同じ悩みを持つ全国の部活動にとっての参考事例になる可能性があります。
奈良新聞デジタルが見出しに選んだ「強さに髪型無関係」という言葉は、一つの部活の取り組みに留まらない、時代の変化を映しているかもしれません。
