フリップに書かれた回答はたった一言、「尻モギ」。
このひと言でスタジオを爆笑の渦に巻き込んだのが渋谷凪咲だ。
同じ時期、渋谷は先輩芸人に「みんな『おもしろい』って言ってくれるけど、自分ではまったくそう思えない」と本音を漏らしていた。派手な回答の裏側には、まったく違う顔があった。
渋谷凪咲の名言は大喜利の即興回答だけではない。11年間のアイドル生活を締めた卒業スピーチから、俳優としての受賞コメントまで、言葉の幅は広い。
大喜利の代表作「尻モギ」に隠れた三連発

2022年6月25日、フジテレビ系『まっちゃんねる』内の「IPPON女子グランプリ」。
渋谷凪咲は「壁ドン以上のキュンキュンを教えて下さい」というお題に、フリップを見せながら右手で自分の尻をもむ仕草を披露した。
答えは「尻モギ」。この一撃でIPPONを獲得している。
同じ収録では「コンパで横の席になったケンタウルスを褒めてあげて下さい」に「意外と馬刺しバクバクいくんですね」、「かわいくないことをかわいく言ってください」には「尿」と答えたのち「にゃー」と鳴いて、こちらもIPPONを奪った。
24時間大喜利、48問への挑戦
半年前の2021年11月22日、TBS系『100%!アピールちゃん』では丸一日かけて48問に回答する企画に挑んでいる。
「一気にファンがゼロになったNMB48ニューシングルのタイトルとは?」には「お尻丸出し女侍」。
「この受付嬢、たぶんロボットだな。その理由とは?」には「ふと見えたオデコにPanasonicと書いてある」。
48問を積み重ねた反響から、翌年1月24日には東京での美容ツアー中に抜き打ちで大喜利を仕掛けられる第2弾も放送された。
「大喜利をしたつもりが一切なかった」に見る本人の戸惑い

出典:【恐怖】NMB48渋谷凪咲が裏ではお笑いにストイックすぎて、後輩にも面白い回答を強要する大喜利モンスターだったら? – 佐久間宣行のNOBROCK TV
大喜利力を最初に見出したのは麒麟の川島明だった。
『100%!アピールちゃん』で共演した川島は「途中から笑ってないですからね。脅威です」と評している。
渋谷自身は『anan』の取材でこう振り返った。「私はその時まで大喜利をしたつもりが一切なかったんです」。
自分の武器と自覚していなかった感覚は、同じ取材の「わからないなりに自分で答えを導き出すんですけど、変な答えだけを出すのは絶対に違う」という言葉にも表れている。
ブレイクの手応えについては「本当に世の中、何が花咲くかわからないですね」と語っていて、狙って掴んだ人気ではないことがうかがえる。
「期待と実力が見合ってない」、大喜利の裏で抱えていた本音

出典:【横山由依 渋谷凪咲】なぎちゃんwwwwwwww – さや姉大好き
派手な回答を連発する一方で、渋谷は苦しさも吐露している。
2022年1月25日深夜、テレビ朝日系『凪咲と芸人マッチング』でハリセンボン近藤春菜に相談した内容が「常に私は、周りの期待と自分自身が思う自分の実力が見合ってなくて、スゴくツラい」だった。
「みんな『おもしろい』って言ってくださるけど、おもしろいなんて自分ではまったく思えない」とも続けている。
同年6月25日の「IPPON女子グランプリ」収録後、松本人志は渋谷に「でも、今日、おいしかったんちゃう? 自分の色、めっちゃ出てたんちゃう?」と声をかけた。
渋谷は公式YouTube「なぎちゃんネル」で、この一言について「それがめっちゃ嬉しくて泣いちゃいました。本当にその言葉で救われたなってすごく思いました」と明かしている。
苦悩を抱えたまま挑んだ大喜利の裏に、先輩からの承認を必要としていた一面があった。
卒業発表から卒業公演まで、11年間を締めた言葉

2023年8月7日、大阪・NMB48劇場のチームN公演『夢中雷舞』アンコールで卒業を発表した。
「私、渋谷凪咲はNMB48を卒業します」に続けて、「約11年間NMB48で活動してきて、自分からNMB48を卒業したいと思った事は一度もありませんでした」と明かした。
卒業コンサートとラスト公演
同年12月16、17日のAsueアリーナ大阪では「(ステージに)出たときからペンライトが私のカラーの真っ黄色になってて、本当に皆さんありがとうございます!」「夢を叶えられて卒業、とても幸せ」と話している。
12月27日、NMB48劇場での卒業公演『渋谷凪咲 卒業公演〜なぎさ前で待ち合わせやで♡〜』では「NMB48になって良かったです。NMB48だったから今の私があります」と語り、最後は「これからもなぎさ前で待ち合わせやで!」で締めた。
2012年12月23日の研究生お披露目から数えて、約11年間の活動に幕を下ろした瞬間だった。
「大喜利は人生が滲むもの」、仕事観を語った言葉

出典:渋谷凪咲 – 風が吹いてスカートがめくれ上がって… | トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~ | Netflix Japan – Netflix Japan
タウンワークマガジンの取材(2024年7月18日掲載)で、渋谷は仕事への向き合い方をこう語っている。
「この子がいてよかった、呼んでよかったなと思っていただける人でありたい」。
続けて「どれだけ素敵な作品であっても、それを受け取る側に最後に手渡すのは表に出る私たちの役目」とも述べた。
夢について問われた際には「もし、その夢が叶わなかったとしても、努力した時間は人生で大事なものになる」と答えている。
WEBムービー『とと脳』の撮影直後、2024年9月26日公開のインタビューでは大喜利そのものへの考えを明らかにした。
「大喜利は発想や個性が大切だと思うんです。自分の人生が滲み出るものだと思うので」。
運やタイミングの要素にも触れ、実力だけでは測れない競技だと分析している。
受賞コメントとこれからの渋谷凪咲

出典:㊗160万再生【渋谷凪咲】後輩を泣かせてまでお笑いを強要w/佐久間宣行のNOBROCK TV – 佐久間宣行お笑いチャンネル【#NOBROCK #佐久間】《切り抜き》
2025年、渋谷は初主演映画『あのコはだぁれ?』で第48回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した(齋藤飛鳥と同時受賞)。
受賞コメントでは「初主演映画で新人俳優賞をいただけたのは、何よりもお芝居に未知数な私を信じて声をかけてくださった清水崇監督、大庭プロデューサー、そして信念を持って作品に向き合ってくださった全ての皆さまのおかげです」と関係者への感謝を述べた。
「映画の主人公・君島ほのかのように、目の前のことに全身全霊で真摯に取り組んでいきたい」という言葉には、アイドルから俳優へ軸を移した決意が表れている。
大喜利の「尻モギ」で笑わせていたのと同じ人が、いまは声の仕事にも挑む。
2026年10月12日深夜スタートの日本テレビ「ドラマDEEP」『十六夜膳房』では、関西弁でお茶目な白猫キャラ「白無常」の声を担当することが発表されている。
