ビデオ検証の間、健大高崎ナインが祈った10回裏

延長10回裏、1死二・三塁。
2026年8月18日、甲子園球場で行われた第108回全国高校野球選手権大会準々決勝第4試合。健大高崎(群馬)と有明(熊本)はタイブレークにもつれ込んでいました。
2番・石田雄星の打球は二塁への内野安打。三塁走者の代走・藤村勇也が本塁へ突っ込みます。
有明側がビデオ検証を要求し、判定が下るまでの数十秒、球場全体が息をのみました。
結果はセーフ。藤村の手が、わずかに先に本塁ベースへ触れていました。
石田はスポーツ報知の取材に「ビデオ検証の間も全員で祈っていた。全員の祈りが通じた」と振り返っています。
1-0。健大高崎が夏の甲子園で初めてベスト4に進出した瞬間でした。
石垣聡志、110球無失点で完封 大会通算防御率0.00

背番号1、2年生エースの石垣聡志が延長10回を110球、被安打5、奪三振4、無失点で投げ切りました。
これで今大会3試合登板(先発2度・完投2度)、通算20回を投げて被安打10、奪三振15、防御率0.00という数字が並びます。
東京都生まれ、沖縄県石垣市育ちの右腕は182cm・83kg。最速148キロの直球に加え、ナックルカーブやカットボール、ツーシーム、スプリットを操ります。
8月7日の1回戦・八幡商戦では甲子園初登板ながら117球4安打11奪三振の完投勝利。9回の失策絡みで1点を失った以外は無失点でした。
8月13日の2回戦・東海大甲府戦では継投の一角として9回に登板。1死一・三塁のピンチを併殺打で切り抜け、完封リレーを締めくくっています。
8月16日の3回戦・佐野日大戦は温存され、健大高崎は4投手の継投で12年ぶりの8強入りを決めました。スポーツナビによると、通算防御率0.00はここまで崩れていません。
春夏3年連続の全国区、青柳監督「先輩たちを超えようと」

健大高崎の夏の甲子園出場は3年連続6回目。指揮を執るのは青柳博文監督です。
過去の夏の成績は6回出場で10勝5敗、優勝経験はまだありません。一方、春のセンバツは8回出場し16勝6敗、2024年には全国制覇を果たしています。
青柳監督は3回戦・佐野日大戦後、「なかなか夏は勝てないでいたので本当にうれしい」と胸の内を語っていました。
準々決勝後には「先輩たちを超えようと思ってやってきた。本当によかった。どちらにいってもおかしくない試合だった」とコメント。
守備の粘りを評価したうえで、代走のジャッジについては「藤村が思いきって走ってくれた」と選手をたたえたと、スポーツ報知が伝えています。
群馬県勢の夏4強進出は、2013年に優勝した前橋育英以来13年ぶりです。
有明は打率1割8分9厘でも3戦連続逆転勝ち、石垣元気との縁も
対戦した有明(熊本)は春夏通じて甲子園初出場で、今大会が初めての8強入りでした。
チーム打率は1割8分9厘と高くありませんが、熊本大会5試合で15盗塁を記録するなど機動力が持ち味。3回戦までの3試合すべてを逆転で勝ち上がってきました。
1番・永田晴輝は3戦連続の三盗を決め、4番・十文字は打率4割4分4厘と勝負強さを見せています。
エースの工修哉が3回戦前に骨折で離脱するアクシデントもありましたが、左腕の斉藤遼汰郎が急きょ先発して109球完投。準々決勝でも石垣と投げ合いました。
石垣が武器とするナックルカーブは、健大高崎の先輩でロッテからドラフト1位指名された石垣元気投手からリリースの感覚を教わったもの。webスポルティーバの取材に「名字が同じという縁もあり、普段から気にかけてもらっていた」と明かしています。
準決勝は8月20日、天理と対戦
時事通信によると、8月19日は休養日に充てられ、健大高崎は8月20日の準決勝第2試合で天理(奈良)と対戦します。第1試合は智弁和歌山対横浜のカードです。
同日の準々決勝では、天理が三重に7-0、智弁和歌山が仙台育英に11-3、横浜が花巻東に6-0で勝利し、ベスト4が出そろいました。智弁和歌山は9年ぶり、横浜は18年ぶりの4強進出です。横浜は最速157キロの織田翔希投手を擁しています。
健大高崎の甲子園通算成績は春夏合わせて13回出場、通算23勝(今大会前時点)。全国制覇は2024年春の1回のみです。
3年生でエースを支える豊永飛輝は打率5割(12打数6安打)、石田雄星は4割3分8厘、大岩翔斗は4割2分9厘と、打線も好調です。無失点を続ける石垣の投球と勢いに乗る打線が、準決勝でどこまで通用するか注目されます。
