万引きで店員に捕まった中学生が、駆けつけた父親の前で涙を流します。
ところがその涙、演技でした。娘は後になって父に、そう打ち明けます。
この娘を演じたのが、公開時15歳だった蒔田彩珠さん。2017年9月9日公開の映画『三度目の殺人』で、福山雅治さん演じる弁護士・重盛朋章の娘を演じました。
是枝裕和監督作品への参加は、これが映画2本目・ドラマを含めれば3度目です。
蒔田彩珠が『三度目の殺人』で演じたのは福山雅治の娘・重盛結花

出典:【トークノーカット】『実写ルックバック』出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花、是枝監督が登壇!実写映画『ルックバック』完成報告イベント – シネマトゥデイ
役名は重盛結花。14歳の中学生で、両親が離婚調停中のため父とは別居している、という設定です。
ややこしいのが表記のゆれ。Wikipediaのキャスト欄は「重盛結花」ですが、映画情報サイトのキャラクター紹介では「重盛ゆか」とひらがな表記になっています。
どちらも同じ役を指します。検索したときに2種類出てきて戸惑った人は、ここでつまずいたはずです。
撮影当時は14歳?15歳?
蒔田さんの生年月日は2002年8月7日。公開日の2017年9月9日は、15歳の誕生日から1か月後にあたります。
役の設定より1歳上、という関係。ただし撮影時期を明記した一次情報は見当たらないため、カメラが回っていた時点で14歳だったのか15歳だったのかは断定できません。
「嘘の涙」が『三度目の殺人』で果たした役割

結花は、万引きの現場で泣いて父を呼び出します。そして後日、その涙が計算だったと父に明かす。
14歳の設定で、ここまでやります。
別の場面では、かつて家族で一緒に暮らしていた熱帯魚の話を持ち出し、「何かあったら迎えに来てくれるのか」と父に尋ねます(映画公式のキャラクター紹介より)。
父の愛情を試すような問いかけ。離れて暮らす娘の距離感が、短いやりとりに凝縮されています。
『三度目の殺人』は、被告人の供述が二転三転する法廷サスペンスです。人の言葉のどこまでが本当なのか——その問いを、法廷の外から照らし返しているのが結花の涙だと読めます。
10歳での出会いから続く、蒔田彩珠と是枝裕和監督

2人の出会いは2012年。是枝監督が演出したフジテレビ系ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』で、当時10歳の蒔田さんが阿部寛さんの娘役に起用されました。
本人は日経クロストレンドのインタビューで、この現場を「一番の転機だった」と振り返っています。
監督からの助言も具体的です。「相手にこう言われたからこういうせりふが出てくる、その経緯をたどることが大事」。遊び半分だった演技が、ここから真剣なものに変わったといいます。
是枝作品での出演歴
| 年 | 作品 | 役 |
|---|---|---|
| 2012 | ゴーイング マイ ホーム(ドラマ) | 阿部寛の娘 |
| 2016 | 海よりもまだ深く | 良多の姪 |
| 2017 | 三度目の殺人 | 重盛結花 |
| 2018 | 万引き家族 | 柴田さやか |
『三度目の殺人』で万引きをする娘を演じた翌年、今度は『万引き家族』に出演。2年続けて万引きが絡む役を任されたことになります。
興行収入14.6億円、日本アカデミー賞6冠という成績

出典:🎬✨蒔田彩珠、4歳から芸能活動!10歳で阿部寛&山口智子の娘役に抜てき🌸 是枝裕和監督を「お父さん」のような存在と告白💖 – JAPAN TOP NEWS
公開初日からの2日間で、興行収入2億3311万2600円、動員17万9256人。観客動員ランキング初登場2位という滑り出しでした。
最終的な興行収入は14.6億円。上映時間124分、レーティングG、配給は東宝とギャガです。撮影は瀧本幹也さん、音楽はイタリアの作曲家ルドビコ・エイナウディさんが手がけました。
最優秀賞6部門の内訳
2018年3月2日、東京・グランドプリンスホテル新高輪で行われた第41回日本アカデミー賞で、同作は最多6冠。
- 作品賞
- 監督賞(是枝裕和)
- 脚本賞(是枝裕和)
- 編集賞(是枝裕和)
- 助演男優賞(役所広司)
- 助演女優賞(広瀬すず)
一方、公開直前の2017年9月5日(現地時間)に第74回ヴェネチア国際映画祭で公式上映された際は、エンドロールの時点で拍手が起きる好反応。ただし金獅子賞はギレルモ・デル・トロ監督『シェイプ・オブ・ウォーター』が持っていきました。
9年後、蒔田彩珠は同じヴェネチアに『ルックバック』で戻った

2026年6月11日、是枝監督が藤本タツキさんの原作を実写化した『ルックバック』で、蒔田さんが出口夏希さんとW主演することが発表されました。担当は京本役です。
このキャスティング、思いつきではありません。是枝監督は初対面のときに蒔田さんへ原作本を手渡し、「もしこの作品を撮れるときがきたら、京本を頼むよ」と伝えていたと明かしています(ムービーコレクション)。
同作は2026年9月7日(現地時間)に第83回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門でワールドプレミア。日本では9月11日に公開されました。
2017年に父娘役として同じ映画祭に関わった少女が、9年後に主演として同じ舞台へ立った形です。
蒔田さんは映画.comに掲載されたインタビュー(2026年9月12日公開)で、是枝監督を「小さい頃から見てくれている」「近所のおじさん」と表現しています。
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まとめ

出典:実写映画『ルックバック』出口夏希&蒔田彩珠が仲良しトーク!撮影現場での思い出を明かす! – シネマトゥデイ
- 蒔田彩珠さんが『三度目の殺人』で演じたのは、福山雅治さん演じる弁護士・重盛朋章の娘、重盛結花(14歳の中学生)
- 表記は「重盛結花」「重盛ゆか」の2通りが併存
- 万引きで流した涙が演技だったと父に明かす役どころ
- 公開は2017年9月9日、当時の蒔田さんは15歳
- 作品は興収14.6億円、第41回日本アカデミー賞で6部門の最優秀賞
結花は出番の多い役ではありません。それでも是枝監督は、この娘の数分間に「供述は信用できるのか」という作品の芯を預けました。
その判断の延長線上に、9年後の京本役があります。『ルックバック』は現在公開中で、2026年9月14日(現地時間)には第51回トロント国際映画祭「Special Presentations」部門でも北米プレミアを迎えました。
