東京ビッグサイトの記者会見場で、こんな第一声が飛び出しました。
「昨日までは無職のゲーマーとして活動していたのですが」
発言の主は、平昌・北京と2大会連続で五輪メダルを獲得したフィギュアスケーター、宇野昌磨さん。日刊スポーツが伝えた会見の一幕です。
2026年5月1日、宇野さんはプロeスポーツチーム「VARREL(ヴァレル)」に加入しました。
ただし本人は「プロゲーマーとは呼ばないでほしい」と釘を刺しています。この一見ちぐはぐな立ち位置に、宇野さんのeスポーツ観が詰まっていました。
宇野昌磨のeスポーツ加入発表はEVO Japan会場だった

出典:【宇野昌磨】eスポーツチーム“VARREL”に加入「できれば、プロゲーマーとは呼ばないでほしい」 – 日テレNEWSカルチャー【公式】
舞台は、EVO Japan 2026が開催中の東京ビッグサイト。2026年5月1日10時30分、VARRELブースに設けられた特別記者会見でした。
加入先は新設の「GAMER部門」。同じ日に、東大卒プロ格闘ゲーマーのときどさんがSTREET FIGHTER部門へ加わることも発表されています。
VARRELはチームのリブランディング「VARREL REBORN」も同時に打ち出しました。新エンブレムは叡智の象徴であるフクロウと、チーム・ファン・歴史文化の循環を表す円で構成されています。
運営元の株式会社CELLORBは2024年6月設立の新興企業。2025年10月に東京大学エッジキャピタルパートナーズなどから10億円を調達し、DONUTS傘下から独立しました。
発表当日、Xでは「宇野昌磨」がトレンド1位に。スポニチアネックスは「えぐい」「プロゲーマーかよ」といったファンの反応を伝えています。
「プロゲーマーとは呼ばないで」宇野昌磨が引いた線

出典:スケート初心者のプロゲーマー達が宇野昌磨さんから指導を受けた上に、神技も披露してもらいました – and more / アンドモア
「プロゲーマーは最前線で戦う人。僕は最前線で戦うわけではないので、できればプロゲーマーとは呼ばないでほしい」
ファミ通の取材に、宇野さんはこう明言しました。
所属はあくまでGAMER部門。ストリートファイター部門やスマブラ部門といった競技チームとは、役割がはっきり分かれています。
競技成績で勝負する選手と、ゲームを楽しむ姿を届ける発信者。VARRELはこの二つを別の看板として並べた格好です。
とはいえ、遊びの延長という話でもありません。加入時の公式コメントでは「今まで、ゲームはぼくの最大の趣味でした」と前置きしたうえで、「趣味の領域を超えて、ゲームにガチで取り組む姿勢をみなさんに届けたい」と宣言しています。
決め手を一言で表すなら「熱」。VARREL公式サイトに寄せた理由はもっと短く、「ここが一番ゲームを楽しめる場所だから」でした。
引退後の空白と「有名人としての価値は有限」

出典:宇野昌磨、eスポーツチームに電撃加入!競技引退後の心境が決め手に「自分は有限なんだと感じた」 『EVO Japan 2026 VARRELブース 特別記者会見』 – oricon
競技引退は2024年5月。世界選手権連覇、全日本選手権13年連続出場という経歴の持ち主が直面したのは、仕事のない約1か月でした。
「このままでは忘れられる」
esports worldのインタビューで、宇野さんは当時の危機感をそう振り返っています。“仕事がないわけない”という勝手な思い込みがあった、とも語りました。
会見で出た「有名人としての価値は有限」という言葉は、この経験と地続きです。オリコンが伝えたコメントは「今の名声や地位に満足せずに自分で切り開いていかなければ」「自分は有限なんだと感じた」と続きます。
輝かしいスケート界については「僕には明るすぎた」と苦笑い。一方でスケートとeスポーツの共通点には「人の心を動かす力」を挙げました。
原点は2020年、プロゲーマーのYouTube番組

出典:【宇野昌磨にインタビュー】 eスポーツチーム『VARREL』加入「真剣さが感じられる瞬間、僕はそこに飛び込みたい」 – 日テレNEWSカルチャー【公式】
現役時代、休日は1日8時間のスマブラ
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』を始めたのは2019年頃。オンシーズン中でも1日5時間、オフの休日は8時間プレイしていたと本人が明かしています。
所持キャラの約半数、30〜40キャラでVIPに到達。ゲーム歴はさらに遡り、2016年頃には『ハースストーン』を触っていました。
転機は2020年6月22〜23日。VARREL所属のスマブラプレイヤー・keptさんのYouTube番組「ケプトの定時退社」への出演です。
開口一番の宣言が「フィギュアスケートの話ではなくスマブラの話をしにきた」。当時国内ランキング16位だったkeptさんに2対1で勝ち越し、「本当に強い」「選手として大会に出てほしい」と言わしめました。
ウメハラのコーチング、そしてXの「将来の夢」投稿
2025年8月5日、REJECT所属のウメハラ(梅原大吾)さんによる『ストリートファイター6』コーチング企画が全3編でYouTube公開されます。前編・中編はREJECT公式チャンネル、後編は宇野さん自身のチャンネルという構成でした。
その16日後、8月21日のX投稿がこちら。「今日から将来の夢はプロゲームチームに加入する事となりました」。
前日には山田涼介さんのCrazy Raccoon所属が発表されたばかり。タイミングの妙もあり、投稿は一気に拡散しました。
9月3日にはZETA DIVISION主催の招待制対戦会へ初心者枠で参加。2026年3月21〜22日、有明アリーナの「VSPO! SHOWDOWN 2026 powered by RAGE」でオフラインイベント初出演を果たします。
EVO Japan 2026、7168人の中の宇野昌磨

出典:🔥宇野昌磨が氷上からゲーミングの頂点へ!?🎮世界王者の衝撃転身に全世界騒然💥 – Japan Sports Hub 速報
加入発表と同じ週末、宇野さんはVARREL所属としての初戦に臨みました。EVO Japan 2026『ストリートファイター6』部門です。
規模が桁違いでした。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| スト6部門エントリー | 7,168人 |
| 大会全体の来場者 | 34,000人(3日間) |
| 参加国・地域 | 71の国と地域 |
| 延べ選手数 | 9,717人 |
このエントリー数は2023年EVOの7,083人を上回り、単一タイトルの格闘ゲーム大会として世界最多の参加者数でギネス世界記録に認定されています。
宇野さんは1回戦敗退、ルーザーズ側でも敗退。最終順位は2,049位タイと伝えられています。
一方、ブース企画「宇野昌磨ストリートファイター6組手」では53戦34勝19敗、勝率64.2%。勝率50%以下で罰ゲームという条件は回避しました。
ただしこの二つの数字は本人の配信とチーム公式SNSでの発表がもとで、大手媒体の報道では確認できていません。
ちなみに同部門を制したのはZETA DIVISIONのヤマグチさん。日本人初の優勝でした。
スケートもゲームも、二刀流の現在地

出典:🌟⛸️ フィギュア王者からプロゲーマーへ!宇野昌磨の第二章🎮 – スポーツ最前線
2025年6月、宇野さんは初のプロデュース・アイスショー「Ice Brave」を開催。氷上の活動は止まっていません。
そのうえで、ゲーム側の仕事が急速に増えました。
- 2026年4月22〜23日:「Shadowverse: Worlds Beyond The k4sen Supported by Cygames」にコーチ枠で出演。経験者枠のよしなまさんとチームを結成
- 2026年6月17日:『シャドウバース ワールズビヨンド』1周年記念CM「シャドウバースデートゥーユー」篇が全国放映。CM内で滑りを披露
- 2026年6月28日18〜21時:同作のゲーム内イベントロビーに本人が登場し、一般プレイヤーと対戦
The k4senでコーチ役が決まったときの反応が振るっています。「よしなま君にトリプルアクセルから教えていけばいいのかな」。よしなまさんは「コーチは宇野さんや!最悪スケートで勝負します」と返しました。
チームメイトとなったときどさんの人物評は「漢(おとこ)」。ストイックな相手を想像して身構えていたら、実際は親しみやすかったそうです。ときどさん側からの宇野評は「しっかり者」。
なお2020年のkept番組出演時には、弟からこんな反応が寄せられていたことも紹介されました。「ゲームに詳しくない母が、こんなに強くなる程ゲームをしていた事に軽くショックを受けています」。
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まとめ

出典:宇野昌磨がプロゲーマーにスケート教えたら覚醒した【ゲスト:立川さん】 – shoutube宇野昌磨
- 2026年5月1日、宇野昌磨さんがプロeスポーツチームVARRELのGAMER部門に加入
- 本人は「プロゲーマーとは呼ばないでほしい」と肩書きを拒否。主戦タイトルは『ストリートファイター6』と『スマブラSP』
- 初戦のEVO Japan 2026スト6部門はエントリー7,168人でギネス世界記録。宇野さんは早期敗退
- 原点は2020年のkept番組出演。2025年8月のX投稿から約8か月でチーム加入が現実になった
引退直後は1か月仕事がなかった人が、「無職のゲーマー」と自称して会見場の笑いを取るところまで来ました。肩書きを名乗らない選択をしたまま、Xでは約41.9万人のフォロワーに向けて発信が続いています。
スケートもゲームも「人の心を動かす力」で説明した宇野さん。次の答え合わせは、VARRELの一員として立つオフライン大会の舞台になります。
