スーツの青木が青山を逆転、売上1945億円を支えた「スーツ以外」

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スーツの青木は今のAOKI、業界首位でも服の売上は2位

AOKI パジャマスーツ CM 「パジャマ以上・おしゃれ着未満」篇 15秒

出典:AOKI パジャマスーツ CM 「パジャマ以上・おしゃれ着未満」篇 15秒 – TV-CM JAPAN

会社全体の売上は業界1位なのに、服の売上だけなら2位。

2026年3月期に、そんな決算を出した紳士服チェーンがあります。かつての「洋服の青木」、現在のAOKIです。

WWD JAPANの報道によると、AOKIホールディングス(HD)の売上高は1945億円。青山商事の1890億円を初めて上回りました。

東証プライム上場(証券コード8214)のHDの傘下で、スーツ事業を担うのが株式会社AOKI。Wikipediaによれば、店舗数はAOKIが504店、ORIHICAが108店です(2022年3月31日時点)。

なお、「スーツ」と「青木」がそろって話題になった人物の報道は、調べた範囲では確認できませんでした。この記事では紳士服のAOKIを取り上げるので、別の方をお探しの場合はご注意ください。

洋服の青木の原点は、父の負債を返すための行商

「最近、スーツを着る人なんているのか?」青山・AOKIの店舗が次々消える…紳士服業界の没落

出典:「最近、スーツを着る人なんているのか?」青山・AOKIの店舗が次々消える…紳士服業界の没落 – 現実の経済物語

1938年に長野県で生まれた創業者の青木擴憲氏は、高校卒業後、父の負債を返すため行商に出ました。

毎日同じスーツを着る若い勤労者に、日替わりで着られるようにしたい。テレビ東京「カンブリア宮殿」(2012年5月31日放送)は、この思いを創業の原点として紹介しています。

実は、創業年は資料によって異なります。Wikipediaは1958年9月に長野県で創業、1965年7月に会社設立と記載。一方のテレビ東京は、1965年に篠ノ井駅前で開店したと伝えました。

その後の転機を並べると、現在の姿につながる年が見えてきます。

  • 1971年:長野駅前店が大きく成功
  • 1986年:横浜港北に旗艦店を開店
  • 1989年:東証二部に上場(1991年に東証一部へ)
  • 1998年:アニヴェルセル表参道を開業、余剰スペースからカラオケ事業も開始
  • 2006年:AOKIホールディングスに商号変更

注目したいのは1998年。「スーツは究極の服だ」と語った創業者の会社が、式場とカラオケに踏み出した年です。

青山商事を逆転したAOKIの決算、スーツ以外が47%

AOKIがAI接客を導入へ 好みに応じスーツ提案【WBS】

出典:AOKIがAI接客を導入へ 好みに応じスーツ提案【WBS】 – テレ東BIZ ダイジェスト

差を生んだのは、スーツではありませんでした。

2026年3月期 AOKI HD 青山商事
売上高 1945億円 1890億円
営業利益 169億円 105億円
アパレル事業の売上高 1028億円 1242億円
アパレル以外の比率 約47% 約34%

アパレルでは、AOKIのファッション事業が青山商事のビジネスウエア事業を214億円下回っています。

逆転を支えたのは、快活CLUBなどのエンターテイメント事業でしょう。売上高767億円、営業利益72億円と、ファッション事業の営業利益85億円に迫る水準まで育ちました。

スーツの着数は10年で半分以下に

背景にあるのが市場の縮小です。青山商事のメンズスーツ販売着数は、2016年3月期の222万着から2026年3月期には95万着へ減少。平均単価は2万7484円から3万4917円に上がりました。

これはAOKIではなく青山商事の数字ですが、AOKIのファッション事業にも似た傾向が見えます。既存店の客数は前年比96.6%、客単価は102.7%。客数の減少を単価で補う構図は共通しています。

五輪汚職の判決を経て、AOKIの経営陣はどう変わったか

スーツのAOKIの意外な“もう1つの顔”!? 2025年度、快活CLUBなどが売上の約4割

出典:スーツのAOKIの意外な“もう1つの顔”!? 2025年度、快活CLUBなどが売上の約4割 – 儲けのカラクリ研究所

2023年の判決と会社の対応

東京五輪スポンサー汚職では、2022年8月に青木拡憲前会長らが贈賄容疑で逮捕され、翌月に起訴されました。

2023年4月、東京地裁は前会長に懲役2年6月・執行猶予4年の有罪判決を言い渡し、判決は5月に確定しています。

FASHIONSNAPによると、判決後に前会長と青木寶久元副会長がHDへ解決金5億円の支払いを申し出て、会社は受諾。当時の経営陣らも月額報酬の20%を3カ月返上しました。

2026年6月、AOKIの社長は小出大二朗氏へ

HDでは2022年6月に、創業家以外で初めて東英和氏が社長に就任。現在のHD社長は田村春生氏です。

株式会社AOKIでも2026年6月24日に、小出大二朗氏が社長に就きました。1966年生まれで、豊島などを経て2022年に入社した人物。入社から4年での就任となります。

青木彰宏氏はHD会長とAOKI取締役会長を務めています。2026年10月の発表会では、服装の自由化で顧客から「何を着ていいか分からない」という声があると説明しました。

掲げた転換は「スーツ専門店」から「ライフ&ワークスタイルのAOKI」へ。売上構成の目標は、ビジネス40%・カジュアル30%・ウィメンズ30%です。

AOKIのスーツはいくら?三通流スーツとパジャマスーツの価格

上下別サイズが選べる!簡単オーダースーツ「QOS」

出典:上下別サイズが選べる!簡単オーダースーツ「QOS」 – AOKI公式 アオキ

上下の合計なら、新作は最安で3万2879円。

2026年10月8日に発表された「三通流スーツ」の価格を、Impress Watchなどの報道からまとめました。

種類 ジャケット パンツ
メンズ・キュプラ混ウール 3万2890円 1万7490円
メンズ・洗濯機で洗えるウール・ポリエステル 2万1890円 1万989円
レディース(10月中旬発売予定) 2万1890円 1万989円

比較の目安になるのが、AOKIのスーツ平均単価3万600円(2024年4〜9月)。時期は異なるものの、最安の組み合わせはこの水準に近い価格帯といえます。

パジャマスーツは100万着目前

2020年12月に発売されたパジャマスーツの累計販売着数は、次のように伸びました。

  • 2021年8月:3万着突破
  • 2022年4月:10万着突破
  • 2026年10月:100万着目前

2003年からCMに起用されている上戸彩さんは、新しいパジャマスーツについて「前よりも着ていて軽い気がしますね」とコメントしています。

洗えるスーツは信州大学との共同開発から

今回の新作にも「洗濯機で洗える」タイプが並びますが、この分野への取り組みは以前からのもの。カンブリア宮殿は、世界初の形状記憶スーツやストレッチスーツ、洗えるスーツを信州大学と共同で開発したと紹介していました。

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まとめ:スーツの青木を首位に押し上げたのはスーツ以外

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  • スーツの青木は、旧「洋服の青木」である現在のAOKI
  • 2026年3月期に売上高1945億円で青山商事を初めて逆転
  • アパレル事業の売上高だけなら青山商事が上
  • 新作の三通流スーツは上下で最安3万2879円

「スーツは究極の服だ」と語った創業者の会社を首位に押し上げたのは、皮肉にも式場やカラオケから広がった事業でした。

ただ、首位1年目の滑り出しは順調とはいえません。2027年3月期第1四半期は経常利益が10億41百万円で前年同期比54.6%減となり、6期ぶりの減収減益と伝えられました。

通期予想は売上高2000億円。達成できるかを占う中間決算は、株式情報サイトによると11月6日に発表される予定です。

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