尾上右近が助っ人に駆けつけた岐阜県東白川村の記念公演

出典:【地元で守られる地歌舞伎】花形役者のスター・尾上右近さんが助っ人に! 岐阜・東白川村 – 中京テレビNEWS
2026年9月20日、岐阜県加茂郡東白川村の「はなのき会館」に約500人が詰めかけた。
目当ては地元の郷土歌舞伎、そして名誉顧問を務める歌舞伎俳優・尾上右近さん(34)の姿だった。
東白川村歌舞伎保存会による「復活50周年記念公演」。中日新聞や岐阜新聞の報道によると、会場では尾上右近さんがサイン攻めに遭う場面もあったという。
入場無料、予約不要。11時から17時まで、升席が並ぶホールで観客は飲食をしながら舞台を楽しんだ。
上演されたのは「会稽扇曽我」など4外題。小学生から80代までの会員が演じる子ども歌舞伎も披露されている。
江戸時代に始まり、一度は姿を消した村の歌舞伎
村人が大歌舞伎の役者に憧れて演じ始めたのが起源とされる。江戸時代、祭典に合わせて芝居小屋で上演され、村の娯楽として親しまれてきた。
明治時代には村内に「神田座」など3つの芝居小屋が建つほどの盛況だったという。
だが戦後、観客は減っていく。岐阜女子大学地域文化研究所の記録によれば、1969年に神田座が姿を消し、村の芝居小屋はすべて取り壊された。上演もここで途絶える。
転機は1975年。元役者らが「歌舞伎愛好会」を結成し、1977年には神田神社の例祭で復活公演を果たした。
以後、毎年9月の定期公演が続く。1994年、はなのき会館の完成に合わせて東白川村歌舞伎保存会が正式発足した。今回の公演は、この歩みの節目にあたる。
振付師の松本団女さんが指導にあたっているのも、この保存会の特徴だ。
岐阜県内には30を超える地歌舞伎の保存団体があり、歴史ある芝居小屋も9軒現存する。東白川村の歌舞伎は、そのなかの一つとして受け継がれてきた舞台でもある。
名誉顧問就任のきっかけは会長との親交

出典:【#4】ゲスト:尾上右近|「Sense Origins」感性の起源 – amana inc.
尾上右近さんが保存会の名誉顧問に就いたのは2025年。同年9月の第49回公演を経て、今回の50周年公演を迎えた。
中京テレビNEWSの取材で明らかになったのは、参加のきっかけが保存会・田口房国会長との親交だったということ。「盛大な公演を行いたい」という会長の思いを聞き、駆けつけたという。
会場では尾上右近さんがトークショーにも登壇し、地歌舞伎についてこう語っている。
「楽しい・好きっていう純粋な気持ち。劇を楽しむ気持ちっていうのが、プロもアマも関係なく、そこが一番受け継がれていく中で重要なテーマだと思っています」
田口会長も「社会が大きく変わり、コロナ禍では存続の危機も感じた」と振り返る。
公演に先立つ2026年2月には、保存会として初のクラウドファンディングを実施。目標額100万円を掲げ、READYFORで寄付を募った。
会員300人、老朽化する道具 次の世代へ引き継ぐ課題

出典:尾上右近、尾上松也にエピソードを奪われ落ち込む?シネマ歌舞伎『刀剣乱舞』舞台あいさつ付き完成披露上映会 – シネマトゥデイ
保存会の会員は約300人。実際に舞台へ立つ役者と裏方を合わせた実働は約60人にのぼる。
年間15回前後の稽古を重ね、9月の本番に備えてきた。人口約2,000人の村にとって、歌舞伎は数少ない大規模イベントの一つだ。
舞台装置は村内の大工でつくる「舞台部」の手作り。保存会は舞台部・公演部・役者部の3部門で運営されている。
一方で、公演は入場無料で運営費は会費頼み。衣装や大道具、小道具の老朽化、会員の高齢化も課題として挙げられている。
田口会長は「次の50年を担う特に若者、子どもたちにこの感動を繋いでいきたい」と話す。
毎年、小学校卒業を控えた子どもを役者として募集し、子ども歌舞伎の演目を立てる仕組みも続いてきた。今回の公演でも、子ども役者が見えを決める熱演を見せている。
