4分で終わるはずのフリーが、終わってみれば6分半。
2025年10月の西日本学生選手権で、鍵山優真選手に起きた出来事です。演技の途中で音源のトラブルが見つかり、いったん止めています。
では、ふだんの演技時間は何分なのか。答えはルールで決まっていて、ショートが2分40秒±10秒、フリーが4分±10秒です。
ただし鍵山選手は2026-27シーズンを休養中。
今季は試合がありません。アイスショーやテレビで何時ごろ滑るかという情報も見つかっていません。
シングルの演技時間の規定はショート2分40秒・フリー4分

5秒ずれるごとに1点の減点
長すぎても短すぎても、5秒ごとに1点。演技時間の過不足には減点が付きます。
セイコーの「HEART BEAT Magazine」は、2024年12月に町田樹氏の監修で解説記事を公開しました。そこで示されたシニアのシングルの規定は次のとおりです。
| 種目 | 規定の演技時間 |
|---|---|
| ショートプログラム | 2分40秒±10秒 |
| フリースケーティング | 4分±10秒 |
計測が始まるのは、曲が鳴った瞬間ではありません。選手が動き出してから、フィニッシュポーズで止まるまでが対象です。
男子フリーは2018年に30秒短縮
2018年のルール改正で、男子とペアのフリーは4分30秒±10秒から4分±10秒になりました。
あわせて男子フリーのジャンプは8つから7つへ。鍵山選手の2025-26シーズンのフリーも、この枠組みの中で組まれています。
フリー「トゥーランドット」は演技時間4分に合わせた専用音源

出典:鍵山優真 ワールドFS『トゥーランドット』2026 FSの自己ベスト更新!ゆまち 4S 4T3T 3Lz 3A1Eu3S /4T 3F3Lo 3A Yuma KAGIYAMA – ねがてぶまん
2025-26シーズンのフリー「トゥーランドット」は、鍵山選手のためだけに作られた4分の音源です。
中日新聞(2026年2月13日)によると、編曲したのはクリストファー・ティン氏。non-no webも、フリーの演技時間に合わせてティン氏自らが編曲したと伝えています。
アビー・ロードで録音、版は「83くらい」
録音は2025年6月、ロンドンのアビー・ロード・スタジオで行われました。演奏はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、合唱はイングリッシュ・ナショナル・オペラのメンバーが担当しています。
同年7月の名古屋市スケート競技会みなとアクルス杯で初披露した時点では、まだ完成形ではありませんでした。終盤の「誰も寝てはならぬ」に、メインボーカル2人の歌声が入っていなかったのです。
その後もティン氏は、会場の響きや拍手を考えて音量をそのつど調整。本人いわく、音源のバージョンは「83くらい」に達しました。
4分の枠はそのままに、音の細部を磨き続けた音源でした。
演技時間が6分半に延びた2025年10月の西日本学生選手権

出典:Yuma Kagiyama 鍵山優真 Turandot – Tony Love ice
音源の違いに気づいたのは、よりによって冒頭のジャンプの直後でした。
2025年10月の西日本学生選手権、フリー。4回転サルコーを跳んだあと、鍵山選手は提出した音源が最新の編曲ではないと気づき、演技を止めます。
予備の音源に切り替え、止まった所から再開。中断を含めた演技時間は6分半に及びました。
それでもフリーは200.54点で優勝です。
中日スポーツの取材には、こう話しています。
> 「提出したものと練習していたものが違った」
>
> 「音源を切り替えた時期がギリギリになってしまった。誰のせいでもない」
試合のたびに手が加わる音源だったからこそ、切り替え直前の取り違えが起きたと考えられます。
なお、この中断で演技時間の減点が付いたかどうかは、報道では確認できませんでした。
同じ4分のフリーで五輪6位と自己ベスト

出典:【GPファイナル】鍵山優真選手が悲願の世界一へ首位発進 圧巻の演技でSPの自己ベスト更新 2位は佐藤駿選手 – メ〜テレニュース
2026年2月のミラノ・コルティナ五輪。フリーの「トゥーランドット」は176.99点で6位にとどまりました。
ショート2位の103.07点と合わせ、合計280.06点で2大会連続の銀メダル。金メダルのミハイル・シャイドロフ選手(カザフスタン)とは11.52点差でした。
テレビ東京のスポーツサイトの取材には、「自分のパフォーマンスに対してすごく悔しさが残るものになってしまった」と語っています。
約6週間後に35.88点の上積み
3月28日の世界選手権(プラハ)では、ショート6位から巻き返します。時事通信によると、フリーは自己ベストの212.87点で、合計306.67点の2位。
五輪のフリーから35.88点の上積みです。曲も長さも同じ4分のプログラムで、ここまで点が変わりました。
それでも合計の自己ベストは、2022年北京五輪の310.05点のまま。あと3.38点届きませんでした。
休養中の今季、鍵山優真の演技はアイスショーで

出典:【速報】鍵山優真の男子フリー演技 ISU世界フィギュア選手権プラハ2026 – MeK News
2026年5月9日のトークイベントで、鍵山選手は2026-27シーズンの休養を明かしました。中日スポーツが伝えています。
規定の2分40秒や4分で滑る試合は、今季はありません。代わりに演技を見せたのがアイスショーです。
- 6月27日:プリンスアイスワールド佐賀公演で、自ら振り付けた新プログラムを初披露(東スポWEB)
- 7月17・18日:「THE REVUE ON ICE」横浜公演で、自ら振り付けた「ニューシネマパラダイス」を披露
ぴあの取材では「オープニングからトリプルアクセルを跳ばされました(笑)」と明かし、横浜公演で4回転に挑む考えも口にしていました。
2025-26シーズンのショートとフリーは、ローリー・ニコル氏の振付でした。表現指導のカロリーナ・コストナー氏とは、世界選手権2026の後に師事を終えたとWikipediaに記されています。
その後の夏に披露したのが、自ら振り付けたプログラムでした。
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まとめ

出典:鍵山優真 Yuma Kagiyama Taipei Training Camp – Cinema Paradiso – ʕ •ᴥ•ʔ
- 演技時間の規定はショート2分40秒±10秒、フリー4分±10秒。過不足は5秒ごとに1点減点
- 計測は曲の始まりではなく、動き出しからフィニッシュポーズまで
- 2025-26シーズンのフリー「トゥーランドット」は、ティン氏が4分に編曲した鍵山選手専用の音源
- 2025年10月の西日本学生選手権は中断込みで6分半。それでも200.54点で優勝
- 2026-27シーズンは休養中で、試合での演技はなし
9月20日には台北のスケート教室に講師として参加し、来季の復帰を口にしています。
戻ってくる試合で、鍵山選手は4分の枠に何を詰め込むのか。今夏、自分で振りを付けた経験がそこにどう表れるかが、次に見るべきポイントです。
