16歳で歌舞伎座デビュー、同時にジャズ歌手としても活動

出典:水谷八重子 – AS TIME GOES BY(from CD『YOSHIE -Sings ’50s』) – Victor Entertainment
2026年8月28日12時18分、劇団新派の女優・二代目水谷八重子さんが肺炎のため東京都内で死去しました。
87歳でした。松竹が8月31日に発表しています。
本名は松野良重。父は歌舞伎界の名門・十四代目守田勘彌、母は文化功労者の新派女優・初代水谷八重子という家系に生まれました。
1955年8月、16歳で歌舞伎座の新派公演「相続人は誰だ」「八月十五夜の茶屋」に「水谷良重」の名で初舞台を踏みます。
同じ時期、ビクターからジャズ歌手としてもデビュー。16歳での二足のわらじは、今で言えばかなり異色の経歴です。
ハスキーな歌声が評判を呼び、NHK紅白歌合戦に4回出場しています。黒柳徹子さん、横山通乃さんとともに初代「テレビ三人娘」として茶の間の人気者になりました。
二代目襲名、日本俳優連合の理事長にも就任

出典:水谷八重子が離婚会見で発した言葉に驚きを隠せない…友近との不仲説の真相は… – 情報まぜまぜちゃんねる
1995年、初代八重子や花柳章太郎の芸を受け継ぎ、二代目水谷八重子を襲名しました。
以後、劇団新派の看板として舞台を牽引します。
2024年10月には日本俳優連合の第6代理事長に就任。演劇界のまとめ役としても重責を担いました。
代表作は映画「青い山脈」(1957年)「座頭市物語」「悪名」シリーズ、新派舞台「滝の白糸」「日本橋」「婦系図」「鹿鳴館」など多岐にわたります。
山田洋次監督が手がけた新派版「麥秋」「東京物語」「家族はつらいよ」にも出演しました。
波乃久里子さんが追悼「本当の姉妹のよう」

出典:水谷八重子が「北酒場」を歌う!『なかにし礼と13人の女優たち』(9) – 日本コロムビア 公式YouTubeチャンネル
盟友・波乃久里子さん(80)は追悼コメントを寄せました。
「お姉さまと初めてお目にかかってから66年」「本当の姉妹のようにたくさんの喧嘩もいたしました」「でも一度舞台に立てば阿吽の呼吸」と振り返っています。
最後に顔を見た際は「本当に先生(初代八重子)の娘」「本当にお綺麗でした」と語りました。
2026年4月放送の「徹子の部屋」では、母の代役を務めた際の心境も明かしています。
「母目当ての客の反応が震えるほど怖かった」。看板女優としての重圧を率直に語る場面でした。
舞台以外にも多才で、1970年代後半には日刊スポーツで競馬コラムを連載。文筆家としても知られ、ベストエッセー集に選ばれた実績もあります。
最後の舞台は「三婆」、お別れの会は後日開催

出典:舞台「三婆」出演の波乃久里子「役作りしない」水谷八重子「若作りしない」自虐でPR – Tokyo newes Japan
2025年2月、京都・南座の新派喜劇公演「三婆」で富田駒代役を演じたのが最後の舞台になりました。
以降は体調不良で休演が続いていたといいます。
瀬戸内寂聴訳「源氏物語」や樋口一葉「大つごもり」の朗読劇は、生涯にわたるライフワークでした。
受賞歴も豊富で、1978年菊田一夫演劇賞、1988年松尾芸能賞大賞、2001年紫綬褒章、2009年旭日小綬章など。2023年には港区名誉区民にも選ばれています。
葬儀は近親者のみで既に執り行われました。お別れの会は後日開催される予定です。
初舞台から70年。歌舞伎の名門に生まれ、新派の看板を背負い、歌手や文筆家としても足跡を残した生涯でした。
