涙のスピーチで最初に出た「平凡な日本の女優」という言葉

出典:日本人初のカンヌ最優秀女優賞・岡本多緒が涙 映画の原作者から感謝のコメント 共同受賞のヴィルジニー・エフィラとともに喜び分かち合う – oricon
2026年5月23日(現地時間)夜、第79回カンヌ国際映画祭のクロージングセレモニー。
女優賞に岡本多緒さんの名前が呼ばれた瞬間、その頬には涙が伝っていました。
ステージに立った岡本さんが最初に口にしたのは、意外なほど控えめな言葉でした。
> 「わたしのような平凡な日本の女優が今日この場所に立っていられるのは、シンプルにわたしたちの素晴らしい監督のおかげです」
シネマトゥデイの報道によれば、自分を「平凡」と表現する謙虚さに、会場からは温かい拍手が広がったといいます。
そして続けて、「本当に信じられない気持ちです。夢を超えています」と声を震わせました。
41歳、日本人として史上初の快挙。その瞬間の本人の感覚は、想像を超えていたようです。
共同受賞ヴィルジニー・エフィラさんとの「ふたり一組」の絆

出典:岡本多緒、カンヌ女優賞受賞作『急に具合が悪くなる』原作者の言葉に涙 – シネマトゥデイ
今回の女優賞は、岡本さんとベルギー出身の女優ヴィルジニー・エフィラさん(49歳)の共同受賞というかたちでした。
劇中でエフィラさんは、パリ郊外の介護施設運営者マリー=ルー役を演じています。
岡本さんは受賞スピーチで、エフィラさんへの感謝も忘れませんでした。
> 「わたしたちを“ふたり一組”として評価していただけたことに、言葉では言い尽くせないほど感謝しています」
THR Japanの報道によると、2人は5月15日のワールドプレミア上映後にもステージ上で抱き合い、感動を分かち合っています。
14分間続いたスタンディングオベーションのなか、互いを支えるように笑顔を見せていたことが伝えられています。
役者として、母になる女性として、ふたりが響き合った瞬間だったといえるでしょう。
濱口竜介監督との出会いがもたらした「日本人初」

出典:【カンヌ国際映画祭】岡本多緒さんらが最優秀女優賞 日本人初の快挙 – 日テレNEWS
岡本さんが受賞スピーチで何度も口にしたのが、監督・脚本を務めた濱口竜介監督への感謝でした。
濱口監督といえば、『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した、日本を代表する作家のひとり。
今作『急に具合が悪くなる』(原題:All of a Sudden)は、フランス・日本・ドイツ・ベルギーの4か国合作で、上映時間は3時間16分(196分)という大作です。
時事ドットコムによれば、岡本さんは2013年のハリウッド映画『ウルヴァリン:SAMURAI』のマリコ役で女優デビューして以降、モデル業との両立が続いてきました。
そんなキャリアにおいて、今回の濱口監督との仕事は決定的な転機となったかたちです。
自らを「平凡な女優」と称した彼女を、世界の頂点に押し上げた監督との出会い。それこそが、今回のカンヌ最大のドラマなのかもしれません。
意外と知られていない事実:お腹の子への「自慢」発言

出典:岡本多緒、日本人初受賞の快挙! カンヌでヴィルジニー・エフィラと女優賞W受賞!/映画『急に具合が悪くなる』 – moviecollectionjp
岡本さんは現在妊娠7か月。そんな彼女が受賞後に語ったのが、お腹の中の子どもへの思いでした。
> 「生まれてきたら自慢しなきゃな」
スポーツ報知の報道で伝えられたこの一言には、母親としての顔がにじんでいます。
ちなみに、今回パルムドール(最高賞)を受賞したのは、クリスティアン・ムンジウ監督の『Fjord』。映画ナタリーによると、ムンジウ監督にとっては2度目のパルムドール受賞となりました。
歴史的な夜に、お腹の中の小さな命と一緒に世界の頂点に立った岡本さん。
『急に具合が悪くなる』は、2026年6月19日(金)から日本国内で全国ロードショーがスタートします(配給:ビターズ・エンド)。
この涙のスピーチが生まれた背景にある196分の物語を、ぜひスクリーンで体感したいところです。
