隣人の子供の泣き声、法律上は「我慢すべき音」だった

出典:【事件に発展】隣人騒音トラブル急増 どこまでが騒音?どう対処すればいい?弁護士解説【めざまし8ニュース】 – サン!シャイン公式ch.
結論から言います。
隣の家から響く子供の泣き声、実は法律上「原則は我慢すべき生活音」と判断される傾向があります。
「えっ、こっちが我慢する側なの?」と思いますよね。
その根拠になっているのが「受忍限度(じゅにんげんど)」という考え方です。
社会通念上、我慢できる範囲かどうか。
ここが裁判でも争点になります。
住宅情報サイト「N-Style Home」の解説によれば、子供の泣き声は「日常生活に必然的に伴うもの」とされ、原則として受忍すべき生活音と扱われやすいんです。
とはいえ、これで全部が片付くほど単純な話ではありません。
泣き声トラブルは、SNS論争から裁判、さらには過去の殺人事件にまで発展してきた、根の深いテーマなんです。
「受忍限度」とは?裁判の基準は53dB

出典:マンションに住んでいる人は必見!隣人の騒音問題・トラブル、解決法を教えます【ひろゆき 切り抜き】 – ひろゆきサプリ〜ひろサプ〜【ひろゆき切り抜き】
まず押さえておきたいのが、「我慢すべき音」にも限度はある、という点です。
2012年3月15日、東京地裁である判決が出ました。
マンション上階で子供が走り回る騒音をめぐる訴訟です。
結果は、受忍限度を超えるとして、騒音の差し止めと損害賠償を命じる判決。
このとき基準とされた数値が「53dB(デシベル)」でした。
出典は法律事例を扱う「ソーチョー」の記事です。
つまり、音の大きさ次第では「これは我慢の範囲を超えている」と認められるケースもある、ということ。
「配慮していたか」も判断材料になる
もう一つ面白いポイントがあります。
それは「親側が配慮していたかどうか」も評価されること。
N-Style Homeが紹介する事例では、子供が20分以上泣くと窓を閉めるなどの配慮をしていたケースが取り上げられています。
この事例では「生活音の範囲内」として、受忍限度内と判断されました。
ただ泣かせ放題なのか、それとも親なりに気を遣っているのか。
ここが結構大きいわけです。
保育園の騒音裁判では「請求棄却」
子供の声をめぐる裁判は、家庭だけの話ではありません。
2017年7月18日、大阪高裁で保育園の騒音をめぐる訴訟の判決が出ました。
結果は、請求棄却。
受忍限度内と判断されたんです。
出典は松田綜合法律事務所の解説です。
子供が集まる施設の音は、社会的に必要なものとして比較的許容される傾向があるんですね。
家庭の泣き声、マンションの足音、保育園の歓声。
同じ「子供の音」でも、状況によって司法の判断が分かれているのが実態です。
SNSでは「苦情の手紙」も「モスキート音」も大論争に

出典:【騒音被害】逆ギレ隣人がついに突撃、、。 – shiroのくらし
泣き声トラブルが今っぽいのは、舞台がSNSに移っていること。
2022年11月9日、ある投稿が話題になりました。
子供の泣き声を理由とした匿名の苦情の手紙を受け取った、というTwitter投稿です(女性自身が報道)。
この投稿、なんと「5.5万いいね」を獲得。
意見はきれいに割れました。
- 擁護派:「集合住宅だから生活音は当たり前」
- 差出人共感派:「丁寧な言葉遣いの手紙=だいぶ我慢してた感じ」
手紙の文面が丁寧だったことで、「むしろ書いた人も限界まで耐えてたのでは」という見方も出たわけです。
モスキート音トラブルも賛否真っ二つ
さらに過激な事例も。
2024年8月25日、東京都議の尾島紘平氏(都民ファーストの会幹事長、当時35歳)がXに投稿しました。
庭のプールで遊ぶ子供に対し、隣人が大音量のモスキート音を浴びせた、というトラブルです。
モスキート音とは、17キロヘルツ前後の高周波音。
長時間聴くと不眠や頭痛を引き起こす可能性があるとされます。
こちらも反応は真っ二つ。
- 隣人を批判:「健康被害が出そう」
- 隣人に同情:「庭でビニールプールは絶対うるさい」「親が窓を閉めるべき」
どちらの言い分も分かってしまうのが、この問題の難しいところですよね。
虐待が心配なときは「189」へ
ここで大事な話を一つ。
泣き声が「ちょっと尋常じゃないかも」と感じたときは、別の選択肢があります。
虐待が疑われる子供の泣き声を聞いた場合の全国共通通報ダイヤルが「189(イチハヤク)」です。
SUUMOジャーナルによれば、基本的に匿名で、最寄りの児童相談所につながります。
児童相談所は全国に233か所。
実際、こうした通報は決して少なくありません。
こども家庭庁の資料では、虐待相談の経路別で「近隣・知人」が22,112件(9.8%)を占めています。
泣き声をきっかけにした通報が、子供を守ることもあるわけです。
意外と知られていない事実:児童虐待相談は過去最多の約22.5万件
最後に、意外と知られていない数字を。
令和5年度(2023年度)の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、225,509件。
前年度比でプラス5.0%、件数にして+10,666件で、過去最多を記録しました(日本家族計画協会)。
経路別で最も多いのは警察等で116,649件(51.7%)。
泣き声通報が含まれる「近隣・知人」も、約2.2万件と無視できない規模です。
そして忘れてはいけないのが、騒音トラブルが最悪の結末を迎えた過去。
1974年8月28日朝、神奈川県平塚市の県営横内団地で「ピアノ騒音殺人事件」が起きています。
階下からの騒音に殺意を抱いた当時46歳の男が、母親(当時33歳)と娘2人(当時8歳・4歳)の3人を刺殺しました。
日本で騒音トラブルが大事件化した先駆例として知られています(Wikipedia)。
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まとめ

出典:映画『隣人たち』本予告 | 7月24日(金)全国順次公開 – ギャガ公式チャンネル
隣人の子供の泣き声トラブルについて、ポイントを整理します。
- 子供の泣き声は法律上、原則「我慢すべき生活音」とされやすい
- ただし「受忍限度」を超えれば違法。2012年東京地裁では53dBが基準に
- 親が窓を閉めるなど配慮していたかも判断材料になる
- 保育園の騒音裁判(2017年大阪高裁)は請求棄却となった
- SNSでは苦情の手紙やモスキート音トラブルが大論争を呼んだ
- 虐待が心配なら全国共通ダイヤル「189」へ(匿名可)
「我慢すべき」と「限界を超えている」の線引きは、本当に紙一重。
だからこそ、感情的にぶつかる前に、配慮や相談の窓口があることを知っておきたいですね。
