「恐怖を動かす3つのメカニズム」とは何か

結論から言うと、ホラー映画監督・川松尚良さんが提唱したのは「出現 → 間(ま) → 動き」の3段階で恐怖を設計するという方法論です。
これ、ホラーを観る側からすると「なんとなく怖い」で済ませていた感覚を、作り手の視点で言語化した内容なんです。
川松さんは日本映画唯一の「ゾンビ・コーディネーター」を名乗るホラー演出のスペシャリスト。
その知見が、CGWORLD ONLINE ACADEMYの講座「クリエイターのためのホラーの演出学」で公開されました。
3つの段階を分解すると
講座で解説されている3つのメカニズムは、以下のように整理されています。
- ① 恐ろしいものの登場(出現) — 何がそこにいるのかという「存在の認知」段階。キャラクター設計、シチュエーション、出現方法までを含む。
- ② 動き出すまでの間(ま) — 出現後、動き出すまでの空白の時間。緊張感を醸成するタイミング設計。
- ③ メインディッシュ ~動き~ — 実際のモーション部分。ここで「背筋も凍る恐怖のモーション5ポイント」が披露される。
「出てきた瞬間」よりも、「出てきてから動き出すまでの間」を独立した工程として扱っているのがポイント。
この“間”を設計するという発想、たしかに言われてみるとホラーの肝ですよね。
川松尚良という人物の経歴

出典:映画『丑刻ニ参ル』予告 主演:小野塚勇人(劇団EXILE)監督:川松尚良 – hellbeyond
そもそも川松尚良さんって何者なのか、というところから整理します。
神奈川県出身、1979年生まれ。日本大学芸術学部映画学科を卒業しています(出典:映画.com、allcinema)。
在学中の2001年には長編ホラー『マクト』で広島学生映画祭グランプリを受賞。
商業デビューは2011年のゾンビ映画『葬儀人 アンダーテイカー』でした。
清水崇監督の「右腕」的ポジション
川松さんを語るうえで外せないのが、清水崇監督との長年のタッグです。
清水監督の「恐怖の村」シリーズ全作にホラー描写担当(助監督)として参加。
2023年には『ミンナのウタ』、2024年7月19日公開の『あのコはだぁれ?』(松竹配給)でもホラー担当を務めています。
2026年7月24日公開予定の『だぁれかさんとアソぼ?』にもホラー担当として参加予定。
プロとしては10年以上のキャリアで、本人は「30年間ホラーを作ってきた知見」と表現しています。
講座「ホラーの演出学」の中身と受講料

出典:川松尚良監督/追っかけハロウィン映画祭〜清水崇監督とホラー映画を見る会〜 – 十二月田護朗
気になる講座の中身、けっこう具体的です。
2025年4月24日(金)にCGWORLD +ONE ONLINEで初回開催されました。
時間は18:00〜21:00の180分(休憩含む)、受講料は11,000円(税込)。
講座のフックになっている数字
講座の告知では、いくつかの「数字」が明確に打ち出されています。
- 思わず振り返る!恐怖演出3ポイント
- 背筋も凍る!恐怖のモーション5ポイント
- ホラージャンル7種類の解説パート
さらに2025年5月29日(木)には実践篇「カメラ・照明・編集・音響・キャラデザ」も開催。
オンデマンド版は2025年11月22日から再販され、販売終了は2026年1月1日となっています。
スタジオでのゾンビモーション実演デモも含まれるとのこと。
川松さん自身は、この講座を「オンラインで学べるネクロノミカン」と表現しています。
川松尚良が語る「恐怖の本質」
ここが個人的に一番興味深かったところです。
川松さんは「恐怖の本質」として、次の3つの問いを設計論として提示しています。
> なぜそこにそんなものがいるのか/何故そんな姿をしているのか/何がしたいのか
つまり、見た目の怖さよりも「存在の理由」を設計することが恐怖の核だ、という発想です。
「グラデーション」としての恐怖観
川松さんはX(@archelonpicture)で、印象的な発言も残しています。
> 怪物や幽霊と人間の間に分断がはっきりあり、何を怖がればいいか作り手が線引きしてくれているホラーはつまらない。実は自分が怪物であり、苦痛を振り撒く側になるかもしれない危うさ。そのグラデーションのなかで観客は自分が何を怖がるべきなのか選び取るのだ
「怖いものを見せる」のではなく、「観客に怖がる対象を選ばせる」という設計思想。
講座の中では「ベースとなる姿をよく認知しているもの(=人間の顔)が崩れる怖さ」「四肢の欠損。回復不可能な怪我をする怖さ」といった、恐怖の根源にも踏み込んでいます。
意外と知られていない事実
川松さんがホラー研究にハマったきっかけ、知ってましたか?
幼少期に観た『バタリアン』と『ネバーエンディング・ストーリー』だそうです。
ゾンビ映画の代表作とファンタジー映画の組み合わせというのが、なんとも川松さんらしい原点ですよね。
また2025年には時代劇ゾンビドラマ『I,KILL アイキル』でゾンビ・コーディネーターを担当。
撮影地の京都について「京都は第二の故郷となった。古都の映像文化はゾンビ向き」と語っています。
古都とゾンビ、字面だけ見るとミスマッチですが、本人の中ではしっかり繋がっているようです。
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まとめ:ホラー演出を「言語化」する流れ
川松尚良さんの「恐怖を動かす3つのメカニズム」は、感覚で語られがちなホラー演出を出現・間・動きという工程に分解した試みです。
注目すべきは、講座が映画関係者だけでなくアニメ・ゲーム・映像制作のクリエイター向けに設計されている点。
ホラー映画の現場で30年間蓄積されたノウハウが、ジャンルを超えて共有される流れができつつあります。
2026年には『終点のあの子』(助監督)や『だぁれかさんとアソぼ?』(ホラー担当、7月24日公開予定)と、川松さんの参加作品も続きます。
「日本映画唯一のゾンビ・コーディネーター」が言語化した恐怖の方程式、ホラー好きなら一度チェックしておく価値ありです。
