産総研の佐藤俊さんは何者?酵母16株すべてで抗酸化物質を確認

16株を調べたら、16株すべてが目当ての物質を作っていました。

2024年2月、学術誌AMB Expressに載った論文の結果です。調べたのは担子菌酵母で、作っていたのは抗酸化物質のエルゴチオネイン。

この研究に携わったのが、産総研(産業技術総合研究所)の佐藤俊(さとう しゅん)さんです。

目次

産総研の佐藤俊さんはバイオケミカル研究グループ長

佐藤俊さんは、産総研・機能化学研究部門の主任研究員です。

同じ部門のバイオケミカル研究グループでは、研究グループ長も務めています。

項目 内容
所属 産業技術総合研究所 機能化学研究部門
役職 主任研究員/バイオケミカル研究グループ長
拠点 つくば中央第5
専門分野 応用微生物学・高分子化学
査読付き論文 44本(researchmap)

科研費データベースのKAKENには、2026年度の所属が「材料・化学領域 主任研究員」と登録されています。

研究キーワードは、グリセリン酸・グリセリン・メタノール・酢酸菌・アシルグリセリン酸の5つ。

主な研究テーマは次の4つです。

  • エルゴチオネインの生合成
  • 生分解性プラスチックの分解
  • グリセリン酸の生産
  • 糖脂質の解析

なお、2026年10月時点の調査では、本人のテレビ出演やインタビュー記事は見つかっていません。

2024年論文:担子菌酵母16株すべてがエルゴチオネインを生産

論文の問いはシンプルでした。抗酸化物質のエルゴチオネインを、担子菌酵母は作れるのか。

答えは「全株が作れる」。調べた16株に、例外は1株もありませんでした。

最も多く作ったのはU. siamensis CBS9960

菌株 生産量
U. siamensis CBS9960 49.5±7.0 mg/L(120時間)
T. crassus 30.9±1.8 mg/L

1位と2位の差は、平均値で約19 mg/L。

同じ担子菌酵母でも、株によって生産量に大きな開きがあるわけです。

2025年には総説も発表

翌2025年には、総説「Biosynthesis of ergothioneine: current state, achievements, and perspectives」を発表しました。

個別の実験報告から、分野全体の到達点と展望を整理する仕事へ。研究者としての立ち位置が一段広がった形です。

研究の原点は「副生グリセリン」の活用

時計を2013年に戻します。

当時の佐藤さんは、まだ独立行政法人だった産総研の環境化学技術研究部門で主任研究員を務めていました。

若手研究(B)で担当した課題

2013〜2014年度に担当した科研費・若手研究(B)の課題名がこちら。

「副生グリセリン利用を指向したキラル酸化バイオプロセスの高度化と応用」

副生グリセリンとは、ほかの製造工程で副産物として出るグリセリンのことです。

2014年、羽部浩さんとの連名発表

2014年には、羽部浩さんとの連名で学会発表を2件行いました。

  • Acidomonas methanolicaを使い、グリセロールからグリセリン酸を作る研究
  • メタノールを含むグリセリンから、メタノールを利用する酢酸菌でグリセリン酸を作る研究

面白いのは2件目。

原料に混じったメタノールを、取り除くのではなく菌に使わせる。そんな組み立てになっています。

鹿児島で語った「バイオベース化学品」

2024年12月13日、佐藤さんの姿は鹿児島県霧島市の鹿児島県工業技術センターにありました。

「産総研技術セミナー in 鹿児島2024」への登壇です。演題は「バイオベース化学品の製造・利用技術」で、Webexでも配信されました。

公式告知に載った講演概要はこうです。

> 「バイオマス等を活用した化学品(バイオベース化学品)生産のための要素技術や得られた化学品の物性・機能評価による用途開拓を『事業協創バイオものづくり』の中で進めています」

作るだけで終わらせず、物性を評価して使い道まで探す。概要からは、そんな研究の流れが読み取れます。

JSTの「環境木質都市」にも参加

2021〜2022年度には、JST(科学技術振興機構)が資金を出す研究課題「環境木質都市」に加わりました。担当はバイオプラスチックの製造技術開発です。

水門潤治さんが部門長を務める機能化学研究部門も、「バイオものづくり」を中核に掲げています。化学品の原料を、化石資源から再生可能資源へ切り替えるという方針です。

佐藤俊輔さん(カネカ)とは別人

「佐藤俊 産総研」で検索すると、よく似た名前が出てきます。

2024年3月26日の産総研プレスリリース(ポリ乳酸の生分解性改善)に名前が載っているのは、カネカの佐藤俊輔さん。神戸大学との共同研究に登場するのも、この佐藤俊輔さんです。

生分解性プラスチックの分解は、佐藤俊さんの研究テーマのひとつでもあります。分野まで重なるので、取り違えには要注意。

ほかにも混同しやすい情報

  • 産総研に在籍する佐藤由也さん・佐藤知哉さん・佐藤一彦さんは、いずれも別の研究者
  • 2023年に報じられた産総研の情報漏えい事件などは、佐藤俊さんとは無関係

検索結果の見出しだけで判断せず、フルネームと所属部門まで確かめるのが確実です。

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まとめ

  • 佐藤俊さんは、産総研 機能化学研究部門の主任研究員で、バイオケミカル研究グループ長
  • 2024年の論文で、担子菌酵母16株すべてがエルゴチオネインを作ることを確認
  • 研究の出発点は、2013〜2014年度の副生グリセリンを使ったグリセリン酸の研究
  • 2024年12月13日、鹿児島でバイオベース化学品について講演
  • カネカの佐藤俊輔さんとは別人

グリセリン酸からエルゴチオネインへ、作る物質は移り変わってきました。それでも「微生物に化学品を作らせる」という軸は、2013年から変わっていません。

新しい成果を追うなら、researchmapの論文リストを見るのが一番の近道です。

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